スケボー初陣3位の平野歩夢「こけたくなかった」東京五輪へ着実に一歩前進
「スケートボード・日本オープン・パーク大会」(16日、鵠沼海浜公園スケートパーク)
スノーボード男子ハーフパイプで冬季五輪2大会連続銀メダリストの平野歩夢(20)=木下グループ=が、スケートボードでの東京五輪出場に向けて上々の滑り出しを見せた。今季の強化候補選手の選考会を兼ねて行われた大会で、決勝で66・8点をマークし3位。日本選手権(5月、新潟県村上市)との総合成績で上位3人に入れば、五輪出場権が懸かる世界大会等に派遣される見込みだ。
平野のスケートボード本格デビュー戦に、集まった報道陣は44社133人。一般ギャラリーからも無数のスマホカメラが向けられた。大きな注目を受ける中、「とにかくこけたくなかった(笑)」という予選1発目の“初滑り”では、いきなり高さあふれる空中技を披露。地面が雪ではなくコンクリートであることを忘れさせるようなエアに、観客からは「スノーボードを見ているみたい」とため息が漏れた。
全体3位で予選を突破すると、決勝でも高さとスピードで魅了して3位入賞。平野は「まさか3位に入れるとは思わなかった。完走できないかとヒヤヒヤしたが、何とかこけずに予選を通過して、決勝も自分のできる技術の中での攻め方ができた。次につながるチャレンジができて良かった」と胸をなで下ろした。
スケボーは4歳から乗り始めたが、現在は専門であるスノーボードの練習の一環として遊び感覚でやる程度だった。冬季五輪に専念し金メダルを狙う考え方もあるが、「スノーボードからスケートボードという誰も挑戦しないことにチャレンジすることが少しでも誰かに伝わればいい。二刀流で夢を持ってチャレンジしてくれる子供が増えてくれればいい」と、異例の夏季五輪挑戦を決めた理由をあらためて明かした。
高い潜在能力を見せつけて、東京五輪出場に向けても一歩前進。「五輪に向けてスケートボードで大会に出てみて、何か状況が変わっていれば。(今後)地道に重ねていけるものであればいいなと思う。(今回で)大きな一歩にはなってない。これからの一歩一歩の方が大きいと思います」。しっかりと足元を見つめながらも、新機軸でのさらなる飛躍を期した。