「スケートボード・日本オープン・パーク大会」（１６日、鵠沼海浜公園スケートパーク）

　スケートボードで２０２０年東京五輪を目指す、スノーボード男子ハーフパイプで冬季五輪２大会連続銀メダリストの平野歩夢（２０）＝木下グループ＝が上々の滑り出しを見せた。強化候補選手の選考会を兼ねて行われ、予選を３位で通過し、決勝では６６・８点をマークして３位。５月の日本選手権（新潟県村上市）との総合成績で上位３人に入れば、五輪出場権が懸かる国際大会等に派遣される強化候補選手に決まる。

　スノボからスケボーに乗り換えた平野が登場すると、ひときわ大きな歓声が起こった。集まった報道陣は４４社１３３人。ギャラリーからも無数のスマホカメラが向けられた。「とにかくこけたくなかった（笑）」という注目の“初滑り”で、いきなり高さあふれる空中技を披露。全体３位で予選を突破すると、決勝でも圧巻の高さとスピードで本職選手に交じり３位に入った。

　「まさか３位になれるとは。少しでも自分の魅力が伝わればいいなと思っていた」

　スケボーは４歳から乗り始め、現在はスノーボードの練習の一環として遊び感覚でやる程度だが、同じ「横ノリ競技」とはいえ別物。大会に出場するのも「十何年ぶり」だというが、冬季五輪メダリストの実績を携えて夏季五輪への殴り込みを決めたのは、固定観念をぶっ壊すためだ。

　「僕にとってチャンスというか、不可能を可能にできる一つの競技。二刀流で夢を持ってチャレンジしてくれる子が増えてくれればいいな、というのがきっかけ。正解もないし、みんなの期待に応えることも簡単じゃないが、少しでも子供たちの未来が広がればと」

　１月に右手を骨折したため短い準備期間だったが、潜在能力の高さを見せつけた。５月の選考会を経て、１０月以降開催予定の世界選手権に出場し、上位３人に入れば五輪切符獲得のチャンスもある。父英功さんは「上出来。次のステップを踏めると思ったのでは」とうなずいた。平野自身も「自分も楽しみつつ、これが五輪に近づくきっかけになればなと。地道に積み重ねていきたい」と前人未到への道を歩み出した。