羽生結弦 空気掌握の35分 跳び、悔やみ、得意げに「ミッションコンプリート」

 「フィギュアスケート・世界選手権」(20日開幕、さいたまスーパーアリーナ)

 22日の男子ショートプログラム(SP)に向けて、男子の公式練習が本番リンクで行われた。昨年11月のロシア杯で右足首じん帯を負傷して以来、4カ月ぶりの実戦となるソチ、平昌五輪2連覇の羽生結弦(24)=ANA=は、3種類の4回転ジャンプを跳ぶなどし、不安を一掃。久々に人前で滑ることの喜びを全面に出した初練習で、大会の空気を完全に掌握した。

 この男が銀盤の上に立てば、やはり空気が変わる。羽生が滑る姿を観衆に見せるのは、昨年11月のロシア杯フリー以来、122日ぶり。リンクサイドに姿を見せると、有料観覧で詰めかけた3000人を超える観客からは、試合さながらの大きな歓声が沸き上がった。

 初練習の35分間は劇場と化した。9分間じっくりとスケーティングで氷の感触を確かめると、満を持してジャンプ練習を開始。最初に3回転ループを決めると、続いてトリプルアクセルに成功。そして、あっさりと4回転の練習をスタート。4回転トーループ-3回転トーループ、4回転サルコーをいとも簡単に決め、不安を一掃した。

 SP「秋によせて」の曲を掛けた練習では、4回転サルコー、トリプルアクセルを成功。最後の4回転トーループからの連続ジャンプは4回転が抜けて2回転となってしまったが、情感タップリに演じ切り、観衆を魅了した。その後の練習では負傷の要因となった4回転ループも完ぺきに成功させた。

 演技以外の部分でも独壇場だった。4回転サルコーを失敗した場面では、悔しそうな表情を浮かべ、失敗した状況をオーサーコーチにアクションを交えて説明。その姿を観客はほほえましく見守った。4回転ジャンプの後に得意げにイーグルでくるりと円を描く場面も。一挙手一投足が視線を吸い寄せた。

 ただただ、怪我明けも問題なしを印象付けた初練習を終えて、五輪王者は言った。「やりたかったこと、感じたかったことを1つ1つ感じることができた。ミッションコンプリート」。頂点を巡る争いは、やはりこの男を中心に回ることになる。

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