ジョセフHCインタビュー「最も重要な鍵はレジリエンス、つまり不屈の精神」
9月20日の日本-ロシア戦(味スタ)で開幕するラグビーW杯日本大会まで、20日であと半年。日本代表のジェイミー・ジョセフヘッドコーチ(HC、49)がインタビューに応じた。2月から東京、千葉、沖縄と続いた7週間の代表候補国内合宿も20日で打ち上げ。指揮官はここまでは順調だと強調した一方で、「レジリエンス」(心理学用語で精神的回復力、抵抗力などの意味)という言葉でチームの取り組むべき課題を示した。残り6カ月、高いレベルでの実戦と厳しい合宿を重ね、目標のベスト8進出を達成する。
-7週間の合宿も20日が最終日。ここまでの成果は。
「きょう(19日)がグラウンドでの最後のセッションになりました。7週間のハードワークも終末を迎えますが、選手たちは満足しています。そしてハッピーな状態でいると思います」
-W杯イヤーの今年ここまでのプログラムは。
「まずは選手たちに1カ月の休暇を与えました。3年間休みなくトップリーグ(TL)、代表戦、サンウルブズ(SW)というサイクルを続けていたので、代表でいい状態で鍛えることができなかったからです。合宿では、最初の3週間は基礎体力作り、その後、ラグビー面を取り入れて、強度を上げました」
-3月末からはSWと、SWに入らない代表候補選手によるチームのウルフパックで、いよいよ全メンバーが実戦での調整に入る。
「自信満々で送り込めます。試合を通じて経験値を高めることによって、さらに強化されると思っています」
-6月からは宮崎でW杯に向けた強化合宿に入る。日本代表候補は現在の約60人から絞り込むのか。
「35~40人になると思います。人数も各ポジションでケガ人が出たらバックアップできるくらいの層の厚さを持ちたいです」
-本番に向けて、選考で最も悩むポジションはどこか。
「ルースFW(フランカー、ナンバー8)は層が厚いですね。西川、布巻、徳永。非常に満足しています。姫野、リーチ、マフィ、ツイもいます。ラピースも7月には代表資格を得られる(※注)。松橋はケガする前はプレーしている。5、6人しか入れないので競争率が高いですね」
-昨秋の合宿から「レジリエンス」という言葉を使っている。
「最も重要な鍵になる部分だと思う。日本人の選手は、スキルも素早さもあるし、足も速い。フィットネスも高いが、大事な試合で勝つためには、瞬間的に巡ってくるチャンスをモノにできるか。そこでレジリエンス、つまり不屈の精神がないといけません」
-それが日本の課題になるのか。
「日本人の選手の多くが大学時代に50点差で楽勝し、TLでもトップ4のチームに入って、常に成功を味わってきました。だが、日本代表に入ると成功を収められていない。試合によって自信満々のとき、そうでないときがある。試合中にも、ソフトな、気の抜けた瞬間も出ます。精神面に波があって一貫性に欠けるんです。試合には一貫した意気込みで挑むことが必要です」
-就任2年半。理想からどの程度まで仕上がっているか。
「想定通りに来ていると思います。去年のオールブラックス戦、イングランド戦は期待以上だったと思います。SWでは日本人選手にハイレベルな試合を経験させました。大きな試合を経験することで、精神面でもいい準備、覚悟ができると思っています。そして、今年はTLなどのほかの義務がありません。W杯に勝つということだけに1点集中してできるので最高の準備ができます。W杯ではトップ8を目指します」