「大相撲春場所・１１日目」（２０日、エディオンアリーナ大阪）

　元関脇で西十両１１枚目の安美錦（４０）＝伊勢ケ浜＝が荒鷲（峰崎）を上手投げで下し、６勝目（５敗）を挙げて白星を先行させた。来場所の十両残留を有力とした。

　立ち合い、左に飛んで上手を取ると、相手の体が崩れたところを逃さず豪快に投げた。

　「左前ミツ取ろうと思って思い切り取りにいったのが良かった」と納得顔。前日、５連勝が止まり、連敗は避けたい思いがあったが必死に欲を押された。

　緊張している安美錦にもう１人の安美錦が「４０歳になってまだ緊張しているのか？何十年やってんだ」と何度も呼びかけた、という。「自分のことを自分でディスってみた。それでこうリラックスできた。自分の弱い部分をだして受け止められた」と“１人芝居”で平常心を取り戻した。

　アキレス腱、膝、太ももなど両足は故障だらけ。満身創痍（そうい）の体で５場所連続十両生活が続く。先場所は２日目から１１連敗するなど、追い込まれたが１４日目から連勝。今場所も初日から４連敗したが、そこから立て直してきた。

　十両残留が有力だと聞くと「え、残っちゃうの？残っちゃうのか、いやなこと聞いたな」とおどけた。「残ることを目指しているわけじゃない。勝ち越し目指してとにかく最後まで取る」と、まだまだ元気いっぱいな相撲を取り続ける。