白鵬11連勝 綱の意地見せつけた V42へ視界良好
「大相撲春場所・11日目」(20日、エディオンアリーナ大阪)
まるで獲物を倒しにいく狼のようだった。白鵬は立ち合い全力でかち上げ、突進が売り物の若武者を逆に押し込んだ。左右のいなしで相手のバランスを崩すと、一瞬のスキを逃がさず右四つ組み止め、間髪を入れず上手投げで土俵に転がした。
「よう体が動いた感じがした。昨日から上位戦が始まったので引き締めていこうというのは頭にあった。間を取りながらじっくり見ていった感じです」
体は熱く燃え上がっても、心は氷のように冷静だった。「若いころは稽古であんな相撲をよう取った。だから激しい相撲とは思っていない」。この日の朝稽古でも「昔は稽古も場所も全力。巡業でも5日で100番取った。そういう貯金はあると思う」と自負を口にしていた。
綱の意地と誇りを存分に見せつけ大関昇進を目指す大器の厚いカベとなった。同時に42回目の優勝へも視界は良好。「(昇進の)ちょっと邪魔をしてやろうかなってね。フフフ」。いたずらっぽい言い回しに極上の達成感を漂わせた。