【振付師・宮本賢ニの解説】スピードがあった坂本、足りなかった紀平
「フィギュアスケート・世界選手権」(20日、さいたまスーパーアリーナ)
女子ショートプログラム(SP)で全日本選手権女王の坂本花織(18)=シスメックス=が2連続3回転ジャンプを決めるほぼミスなしの演技を見せ、76・86点で2位につけた。今季の国際大会6戦全勝で初出場優勝を目指す紀平梨花(16)=関大KFSC=はトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を失敗し、70・90点で7位と出遅れた。昨年3位の宮原知子(20)=関大=は70・60点で8位。平昌五輪金メダリストのアリーナ・ザギトワ(ロシア)が82・08点で首位発進した。女子フリーは22日に行われる。
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紀平選手は6分間練習では失敗がなく、トリプルアクセルも決めていた。それだけに、まさかのシングルアクセルだった。滑り出すときの表情は柔らかく、いい滑り出しをしていただけに驚いた。
いつもよりスピードがなかったかなとも思う。日本での世界選手権ということで、独特なものもあったのではないだろうか。力みもあったのではないか。ただ、3回転ルッツなどで巻き返し、プログラムを滑りきったのはさすがだった。
首位との11・18点差を逆転するのは、決して不可能ではないものの、なかなか難しいと思う。フリーに向けて、持ち味のトリプルアクセルを2本決めて流れを良くして、巻き返してほしい。
坂本選手はジャンプ自体が落ち着いていた。流れも良かった。特にダブルアクセルと、3回転ループの跳び方は、プログラムに溶け込んでいた。スピードもあったし、ああいうところでプログラムの構成点は上がっていく。
宮原選手はコンビネーションジャンプで軸が曲がり、危ないと思ったが、何とかこらえた。全体的に大きな失敗はなかったし、演技に彼女が持つ正確さが出ていたと思う。