宇野昌磨6位「いさぎよく逃げました」冒頭転倒…続くジャンプあえて回転落とした
「フィギュアスケート・世界選手権」(21日、さいたまスーパーアリーナ)
2月の四大陸選手権覇者の宇野昌磨(21)=トヨタ自動車=が91・40点で6位となった。4回転フリップで転倒して回転不足も取られた。ネーサン・チェン(米国)がSP歴代2位となる107・40点でトップ。五輪2大会連続金メダリストの羽生結弦(24)=ANA=は94・87点で3位。
91・40点でSP6位と苦しいスタート。それでも、宇野は少し笑っていた。「失敗した時点で、フリーで追いつくためにこれ以上失敗できないと思った。潔く逃げました」。冒頭の4回転フリップで転倒し、続く4回転-3回転の連続トーループの2本目を2回転に変えた。これまでの自分なら“妥協”は許せなかったが「今回は満足いく演技より結果を求めているから」と迷いなく安全策をとり、続くトリプルアクセルでは、3点以上の加点を引き出した。
主要国際大会で銀メダル6度の“シルバーコレクター”は、右足首の故障を乗り越え、2月の四大陸選手権で初めて大きな勲章を手にした。羽生不在の日本男子をけん引する中で芽生えたのは、自分のためだけではない何か。「人の言うことを全然聞かない」と自認するが、四大陸後には「支えてくれるまわりの人から優勝してほしいという声を聞いた」と、周囲の期待が自身の力になると感じていた。
自らに勝利を課しても「気持ちで負けることはなかった」と宇野。一歩階段は上った。23日のフリーでは、4回転を4本入れる攻めのプログラムを予定する。「ノーミス以外優勝という結果はない。必然的に自分のMAXの演技をしないといけない」。思いは必ず力に変える。