現役引退の天鎧鵬、涙「腐らずやってきて良かった」 年寄「秀ノ山」襲名

 会見後、花束を贈られる天鎧鵬(撮影・佐藤厚)
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 「大相撲春場所・14日目」(23日、エディオンアリーナ大阪)

 元西前頭8枚目で幕下の天鎧鵬(34)=尾上部屋、本名・南貴由輝=が23日、現役引退を発表し、エディオンアリーナ大阪で引退と年寄「秀ノ山」襲名会見を行った。

 熊本県玉名市出身。日大を経て07年初場所で初土俵を踏んだ。4年半、苦労して11年名古屋場所で新十両昇進。12年初場所で新入幕し順調だったが、14年春場所で右足関節を故障し、幕下に陥落。その後、十両復帰はしたが、16年名古屋場所で再び十両から降下。その後は幕下生活が続いていた。

 「やり切った気持ちはある。幕下に落ちて2年半たってもう1回、(関取に)帰ろうという気持ちに体が付いてこず。だんだん気持ちがなくなった。今年の初場所前からもうそろそろという気持ちになった」と、引退に至った心境を明かした。

 順風満帆ではなかった土俵人生。「反省することばかり。日大から同級生4人で入って3人はすぐに(関取に)上がった。自分は上がれないと思っていた。腐らずやってきて良かった」と涙を流した。

 思い出の一番は12年新入幕で13日目に旭天鵬と対戦し勝ったこと。「4年半幕下にいて幕内に上がれるとは思っていない。旭天鵬関はテレビでしか見たことがない人。相撲を取って勝ち越してすごいうれしかった」と話した。

 今後は部屋付き親方として後進を指導する。師匠の尾上親方(元小結浜ノ嶋)が「部屋を立ち上げてすぐ入門してくれたメンバーの1人。さみしいな、と。さみしいけどまた関取になる力士を育てていきたい。奥さん、子供もいて何とか返り咲いてほしかったけど、一生懸命やった。部屋では明るくムードメーカー。後進の育成に心強い」と今後も期待した。

 天鎧鵬は親方としての再出発に「自分がお客さんを沸かす相撲が取れなかった。お客さんに喜んでもらえる勢いのある力士を育てたい」と抱負を述べた。

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