大関・貴景勝が誕生 「武士道精神」でさらに上を目指す!
日本相撲協会は27日、大阪市のエディオンアリーナ大阪で夏場所(5月12日初日、両国国技館)番付編成会議と臨時理事会を開き、関脇貴景勝(22)=千賀ノ浦=の大関昇進を満場一致で決めた。大阪市内のホテルで行われた伝達式で、貴景勝は「武士道精神を重んじ、感謝の気持ちと思いやりを忘れず相撲道に精進」と口上を述べた。平成最後の新大関となり、磨き上げた押し相撲で横綱を目指すことを宣言した。
平成最後に新大関を射止めた貴景勝はさすがの勝負強さだった。午前9時48分、使者の出羽海理事(元幕内小城ノ花)、西岩審判委員(元関脇若の里)から全会一致で大関に推挙されたことが伝えられ、いざ待望の口上。
「大関の名に恥じぬよう、武士道精神を重んじ、感謝の気持ちと思いやりを忘れず、相撲道に精進してまいります」
言葉を詰まらせることなく、堂々と言い切った。「本場所と違った緊張感。盛大な場所で(伝達式を)させていただいて、失敗しないようにやった。小さい頃からの夢でもあったし、一つ目標が達成できてうれしい」と喜びをかみしめた。
新元号、新時代を担う大関ながら、口上はどこか“昭和の香り”が漂う。「小さい頃からこの言葉で自分を築き上げてきた。プロに入ってからもこの言葉に何度も救われた」。「武士道」、「感謝と思いやり」-、特別な思いを口上に込めた。
「力のもののふ(士)と書いて力士と読む。自分は『勝っておごらず負けて腐らず』という言葉を常日頃から意識している。武士道の中から習得した言葉。義理人情とか受けた恩は必ず返す人間でありたい。『感謝の気持ちと思いやり』は埼玉栄高の部訓。ここで人間的に成長できた。いろんな人に支えられてここまで来た。感謝を忘れたらダメ。それも武士道につながる」
小3から相撲を始め、父子で目指したのが横綱。ここがゴールではない。目指す大関像を問われると「次の番付を目指す。そのことを言ったらそこで終わる。どんな大関かではなく、もう一つ上がある。上を目指して立ち向かっていきたい」と力を込めた。
押し相撲一本で大関になった力士は数えるほどで、最高位を極めた力士は近年では見当たらない。「押し相撲で幕内は無理と言われ、三役は無理と言われ、大関は無理やろと言われて来た。そう言われて自分も頑張れた。信じてくれた人のため頑張る。自分が持っている少ない武器をもっと磨く。それしか自分が生き残っていく道はない」。真っすぐ電車道。22歳、角界の通説を覆し頂点に立ってみせる。