一二三、V逸に悔し涙…出直し誓う「また新しい阿部一二三見せる」
「柔道・全日本選抜体重別選手権」(7日、福岡国際センター)
今夏の世界選手権(日本武道館)代表選考会を兼ねて行われ、男子66キロ級決勝は、国際大会3連勝中の丸山城志郎(25)=ミキハウス=が世界王者の阿部一二三(21)=日体大=から延長で浮き技による技ありを奪い、優勢勝ちで2連覇を達成。初の世界切符をつかみ取り、逆転での東京五輪代表へのチャンスを得た。敗れた阿部も3連覇が懸かる世界選手権代表に決定。し烈な五輪代表争いは、夏の日本武道館で天王山を迎える。
阿部は初戦からの激闘で左脇腹にテーピングを巻きながら死闘を繰り広げたが、何度背負い投げや足技を飛ばしても投げきれなかった。
既に代表を決めている妹・詩が見つめ声援を送る中、気迫を前面に出したものの、またしても丸山に惜敗。「悔しいです。気持ちで押し切られたかな。一進一退だったけど、あと一歩が届かなかった。でも、そのあと一歩が大事」。表彰式までは毅然(きぜん)と振る舞っていたものの、舞台裏に入った瞬間、悔し涙を流して嗚咽(おえつ)を漏らした。
昨年世界選手権を2連覇して以降、担ぎ技で強引に投げ切る柔道は徹底的に研究、対策されており、国内外3大会連続でV逸と苦戦が続いている。東京五輪出場が不透明になってきただけに「この負けをしっかり糧にできるように必死にやらないと」と危機感を募らせ、「もう一回、一から気持ちを新たにして、また新しい阿部一二三を見せていけたら」と出直しを誓った。