【柴田亜衣のゴールドアイ】難しいけど一番切り替えやすいのは気持ち
「競泳・日本選手権」(8日、東京辰巳国際水泳場)
7月の世界選手権(韓国・光州)代表選考会を兼ねて行われ、女子400メートル個人メドレーは大橋悠依(23)=イトマン東進=が4分33秒02で優勝し、200メートル個人メドレーとの3年連続2冠を成し遂げた。男子400メートル個人メドレーの瀬戸大也(24)=ANA、男子100メートルバタフライの水沼尚輝(22)=新潟医療福祉大職員=も派遣標準記録を突破し、代表に内定。個人種目で代表入りした選手は10人にとどまった。日本代表の平井伯昌ヘッドコーチ(55)は低調な戦いぶりを分析し、代表一丸となっての強化を図るとした。
【柴田亜衣のゴールドアイ】
瀬戸選手は200メートル個人メドレーが自己ベストだっただけに、もう少し記録が出るかと期待していた部分があります。後半バテ気味と感じましたし、疲れがあったのかもしれません。200メートルでも自由形で踏ん張り切れませんでしたが、そこが修正できれば夏での自己ベストは間違いないでしょう。
大橋選手は、おそらくそこまで調子が良くないと思っている状況ながら、派遣標準記録を切りました。200メートルバタフライにも出場しましたが、1種目増やすだけでも、体を持たせるのは大変です。今大会で経験できたことは良かったのではないでしょうか。
派遣標準記録を突破した人数だけを見れば、少しさみしい気持ちもあります。ただ、記録を切れなかった人たちは、これが五輪の前年で良かった、と気持ちを切り替えられれば、と思っています。
一番切り替えやすいのは、難しいけど気持ちです。私は2008年の北京五輪代表選考会で400メートル自由形の派遣標準記録を切れず、五輪はダメだと感じました。800メートルまで何日かあったとき、ほかの選手のレースを見たり、インタビューを聞いて思ったのです。先のことを考えても意味がない、今のことに集中して全力を出そうと考え、800メートルの代表権を得ました。
どの選手も気持ちが乗っていないことはなかったはずです。自分が…とか、五輪が…と背負いすぎていた部分があったかもしれません。難しいことですが、気持ちを切り替え、強い気持ちを持つことが、大切だと思っています。(04年アテネ五輪女子800メートル自由形金メダリスト)