「フィギュアスケート・世界国別対抗戦」（１１日、マリンメッセ福岡）

　今季成績上位６カ国・地域で争われる大会が開幕し、女子ショートプログラム（ＳＰ）が行われた。紀平梨花（１６）＝関大ＫＦＳＣ＝が冒頭の３回転アクセルを含む３本のジャンプを全て成功させ、世界歴代最高を更新する８３・９７点でＳＰ１位となった。１８年全日本選手権女王の坂本花織（１９）＝シスメックス＝は７６・９５点で自己ベストを更新し、３位に入った。２位は８０・５４点のエリザベータ・トゥクタミシェワ（ロシア）。

　紀平はＳＰ「月の光」の冒頭、トリプルアクセル（３回転半ジャンプ）を流れるように着氷。出来栄え点で２・８６点と、大きな加点を得た。その後の３回転フリップ－３回転トーループの連続ジャンプ、後半の３回転ルッツと全て着氷し、演技後は何度もガッツポーズをつくった。

　世界最高点をたたき出した昨年１２月のＧＰファイナル以外、今季ＳＰでトリプルアクセルを加点のつく出来栄えで決めた試合はなかった。「今季最後、いい演技で締めくくりたい」と話していた通り、シニアデビューを果たした激動のシーズンの最終戦で、重ねてきた努力が実を結んだ。

　なお、８３・９７点は、以前の採点基準での最高記録であるアリーナ・ザギトワ（ロシア）が平昌五輪で記録した８２・９２点も上回っている。

　報道陣には「点数は驚いた。８０点出たらいいなと思っていて、高すぎてビックリした」と胸の内を明かした。「演技は落ち着いてジャンプに集中できた。最後の最後に決めたいって思いが強かった。最後までどうすればノーミス（の演技が）できるか考えて行動できたのが良かった」とも語っており、演技そのものは納得の内容だったようだ。

　３回転アクセルは「一番いいアクセルだったと思う。（決めた瞬間）よし！って気持ち」と会心のジャンプとなった。演技後のガッツポーズについても「やったー！っていう一言かな。うれしかったです」と率直な思いを込めたと振り返った。

　国別対抗戦は団体戦。順位ごとに１位に１２点、２位に１１点…１２位に１点とポイントが与えられる。男子、女子、ペア、アイスダンスと２本の演技それぞれで順位ポイントを出し、その合計ポイントで競う。女子ＳＰでは紀平が１２点、坂本が１０点を獲得した。