大迫VS陸連の推薦基準論争 為末大氏が論点整理 室伏パターン以外の救済基準は?
“侍ハードラー”為末大氏(40)が24日、ツイッターを更新し「部外者ですが、論点が違う方向に向かいそうなので、大迫選手と陸連とのやりとりで補足します」と、男子マラソン日本記録保持者の大迫傑(ナイキ)が問題を提起した“特別推薦枠”の論点の整理をした。
大迫が23日、自身のツイッターを更新し、トラックでの日本選手権出場を“却下”されたことを受けて、陸連の強化委員会を「陸連を私物化している」などと批判。一方の日本陸連幹部は「誤解をしている」と、あくまで選考基準に則った選考と説明した。
大迫が求めた“本連盟強化委員が特に推薦する本連盟登録競技者”という特別推薦枠の適用基準が明確でないことから騒動に。24日になり、為末氏もツイッターを更新し「部外者ですが、論点が違う方向に向かいそうなので、大迫選手と陸連とのやりとりで補足します。以下の一文が今回議論されているものですが、これがあることにより強化委員会の権限で日本選手権に出場させることが可能です」とし、『本連盟強化委員が特に推薦する本連盟登録競技者』という一文をあげ、論点の整理を始めた。
同推薦は過去に五輪、世界選手権でメダルを獲得している男子ハンマー投げの室伏広治に適用されている。為末氏は「ここから察するに五輪メダル候補のような選手が、怪我などの理由で日本選手権兼最終選考会参加基準を満たせなかった場合に救済措置で出場させる役割を果たしていたように見えます」とした上で「そうなると、では室伏さんのような分かりやすい例を除き、いったいどのような選手であればこの救済措置を受けられるのか、またその選手を選考するプロセスはどこで話し合われて誰が責任を取るのかということが気になります。実はこの救済措置を受けられる基準は明示されていません」と、指摘した。
その理由について「基準が明示されていないのは選手を救済しやすくするためなのかもしれません。例えば未来のホープに救済措置を出すために、過去の競技成績だけで判断したくないなどは考えられます」と推察した一方で「基準が明示されていないということは、ルール上は意思決定者の主観的な価値観で救済できることにもなります」と指摘。
「今回の大迫選手の問題提起の論点は、基準が明示されていない救済措置を誰かが私的に利用しようとした場合どのように防ぐのかというガバナンスへの指摘。曖昧な選考基準であるために選手たちが意思決定者に勝手に忖度し始める危険性についての指摘ではないかと、私は思います」と、分析した。
大迫もこの日、ツイッターを更新し「問題は断られた事じゃなくて、規定が不透明が故に幾らでも強化委員の人の思惑でどうにでもなってしまうって事。そしてこれはこの規定に限った事ではない」、「最初からオリンピックまたは世界陸上のメダリストに限るなど、明記されている中で駄々をこねるほど馬鹿じゃないですよ」と、不透明さへの憤りをつぶやいた。