小出義雄さん Qちゃん金は「マラソンの神様がご褒美くれた」シドニー五輪の小出節
女子マラソンの高橋尚子さん、有森裕子さんらを育てた小出義雄さんが亡くなったことが24日、分かった。80歳。小出さんは3月末に指導の一線を退くと発表したばかりだった。
小出さんは教員を経てリクルートへ。「これからは女性の時代が来る」として、悲願の五輪金メダリストを育てる夢を叶えるために自ら動いた。
高橋さんが金メダルを獲得した00年シドニー五輪では、豪快な性格とは裏腹な緻密な作戦で勝負に出た。
シドニー五輪金メダルを伝えたデイリースポーツ00年9月25日の紙面によると、レースは35キロのスパートを想定し、32キロ付近にアパートを借りて連日高橋さんを走り込ませた。レース前日も高橋さんと2人、スパートする位置を確認し「30キロで3人なら勝てる。32キロから37キロの間で行け」と指令を出していた。
高橋さんはその言葉通り、35キロ手前でサングラスを投げ捨てスパート。小出さんの目論み通り、そのままゴールテープを切り、快挙を成し遂げた。
五輪前の高地合宿では、草木も生えない3500メートルもの高地で合宿を行った事から「無謀」「高山病になる」などの声が上がったが小出さんは耳を貸さなかった。「一つの仕事をやるには、おっかながってちゃダメなんだよ」-。信念を貫き通した。
金メダル獲得後、小出さんは「高橋は走ることが大好き。僕も大好き。走ることが大好きな2人が巡り会い、マラソンの神様がご褒美をくれたんだね」とコメント。本紙にはトレードマークのひげをさっぱりそり落とし、高橋さんが満面の笑顔でほおを撫でる写真が掲載されていた。