張本智和、スマホゲーム効果で関門突破 “難敵”フレイタスに初勝利で16強
「卓球・世界選手権」(24日、ブタペスト)
シングルス3回戦で男子は張本智和(15)=木下グループ=がマルコス・フレイタス(ポルトガル)に4-0で快勝して16強入りした。水谷隼(木下グループ)は鄭栄植(韓国)に3-4で敗れた。女子は石川佳純(全農)、平野美宇(日本生命)、佐藤瞳(ミキハウス)、加藤美優(日本ペイントホールディングス)が4回戦に進んだが、伊藤美誠(スターツ)は孫穎莎(中国)に1-4で敗れた。
張本が徐々にギアを上げてきた。右手薬指の痛みは完全に消えたわけではないが、試合中はアドレナリンで吹っ飛ぶという。過去0勝2敗と分が悪く、序盤戦のヤマ場と位置づけていたフレイタスに4-0で完勝し、難なくベスト16に進んだ。
シングルス初戦は緊張で硬くなりミスも多かったが、勝負勘も取り戻してきた。「ダブルスはプレッシャーも半減されるが、シングルスはコートに自分しかいないので緊張感が強い」。13歳で何も恐れずに攻め抜き、8強入りした2年前とは立場が違う。第3シードとしてメダルを期待されるだけに大きな重圧がかかる。
負けたら終わりという極限の緊張状態を解放してくれるのが、スマホのアクションシューティングゲーム「ブロスタ」に没頭する時間だ。試合後もいつもと変わらず、ホテルの自室で午前0時頃に寝るまでの約1時間、コートとは別の“戦場”へ向かうという。
オフの時間はさすがに今時の高校1年生か…と安心させてくれると思いきや、遊びの中にも勝負師としての独自の哲学がある。「(ゲームには)負けを求めています」。卓球界ではトップを競う張本も、ゲームの中ではランク圏外。「もっとうまい人がいるので。ユーチューバーとかに比べたら(下手)。(卓球の)試合は負けると悔しいけど、ゲームならいくら負けても大丈夫。勝ったり負けたりが楽しいです」。小さな画面上の仮想空間で思いっきり負けておく分、現実世界では絶対に負けない。