有森裕子さん、小出監督の訃報で涙…心に残る言葉「どんなことにも意味はある」
陸上の女子長距離の名指導者で、五輪金メダリストの高橋尚子さん(46)らを育てた小出義雄氏が24日午前8時5分、肺炎のため千葉県浦安市の順天堂大浦安病院で死去した。80歳だった。 涙ににじんだ視界に、浮かび上がるのはあの穏やかな笑顔と、そして眉をハの字にした困った顔。恩師である小出監督の訃報を受けて、都内で取材に応じた有森裕子さん(52)は時折涙を浮かべ、言葉を詰まらせながら「監督と出会えて私は幸運だった」と、2大会連続の五輪メダルに導いてくれた恩師に感謝した。
有森さんは日体大卒業後にリクルートに入社し、監督と出会った。「しょっちゅうケンカもした。一番覚えてるのは困った顔」。それでも優しく、厳しく、そして粘り強く指導してくれた。「練習量は半端なかった。当時女子にはこれ以上やらせてはいけないという常識があったが、それを『打ち破るんだ』と。常に未来を見ている人。未来を見ている監督が好きだった」と、言葉を絞り出した。
忘れられない言葉がある。度重なるけがに苦しんだ有森さんに、小出監督は言った。「『有森、なんで故障したんだろう、と思うな。どんなことが起きてもせっかくと思え。どんなことにも意味はある』と。だから、立ち向かえた。監督からの一番の言葉です」と、天を見上げた。