内村、37位で予選落ち 世界選手権代表絶望的…東京五輪へ暗雲

 「体操・全日本選手権」(26日、高崎アリーナ)

 男子予選が行われ、12年ロンドン五輪、16年リオデジャネイロ五輪2連覇王者の内村航平(30)=リンガーハット=は80・232点で37位に終わり、まさかの予選落ちとなり、世界選手権(10月・ドイツ、シュツットガルト)代表入りが絶望的となった。両肩に不安を抱えていた内村は、最初の種目である床から精彩を欠き、5種目目の平行棒で左肩を再び負傷。最後まで演技したが、28日の決勝進出に進める30位以内には届かなかった。集大成の舞台と見据える20年東京五輪に向けて、暗雲が漂った。2連覇を目指す谷川翔(順大)が合計85・566点で首位に立った。

 美しく、そして圧倒的に強く、平成の世に君臨してきた“絶対王者”が、時代の終わりに初めて“もろさ”を見せた。最初の床で1本目の跳躍がいきなりラインオーバーとなると、続くあん馬では落下。「終わったと思った。これ以上演技しても先はないと」。両肩に不安を抱える中、気持ちは切れた。平行棒では左肩を強打し、苦悶の表情で落下した。鉄棒では「止まった」と思った着地が、手をつき這いつくばる形に。最後まで内村航平の面影はなかった。

 勝ち続けてきた者の弱さが出た。1月に30歳となった。両肩を痛め、満身創痍(そうい)の状態で練習が積めない。過去の自分とのギャップに苦しんだ。「今までは練習から完ぺきにやれていたが、それができないことにイライラした」。ミスが出れば、気持ちが切れる。練習の内容が、そのまま試合でも出た。

 高校2年生で初出場した05年大会以来の予選落ち。5月のNHK杯出場も逃し、個人総合での世界選手権代表入りは消滅した。種目別での代表入りの可能性は残るが、水鳥強化本部長は「ゼロではないとしかいえない」と話し、08年北京五輪から11大会続いている世界大会連続出場は絶望的。「この1年が終わったという感じ。東京五輪は夢物語。今は何もやりたくない」。怒りを押し殺し、自嘲気味に吐き出した言葉が、虚空に消えた。

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