柔道、平成最後の全日本で残念な“珍事” 史上初の両者反則負け 審判長「断腸の思い」
「柔道・全日本選手権」(29日、日本武道館)
世界選手権(8月開幕、日本武道館)の男子100キロ超級代表最終選考会を兼ねて行われた。伝統と格式を誇る国内最高峰の戦いで、平成最後の全日本で、残念な“珍事”が起こってしまった。
3回戦で佐藤和哉(日本製鉄)と熊代佑輔(ALSOK)がともに積極性を欠く試合を展開し、ゴールデンスコア(GS)になっても組み合わず、指導3つで両者反則負けとなった。大迫明伸審判長によると、全日本選手権での両者反則負けは「初めて」という。
同審判長は「我々としても体重無差別の日本の独自の大会の中で、できればどちらかが積極的になって片方の反則負けか、ポイントでの決着を期待していた。ただ、さすがにあそこまで攻め合わない、組まないが続くと…」と、無念の表情。3度目の指導の前に一度試合を止めたことに触れ「試合を止めて、このままだと(3度目が)いくよと。ギリギリのチャンスを与えた。あれ以上は伸ばせない。断腸の思い」と、説明した。
熊代は「昨年も対戦して、指導2つ同士から、自分が掛け逃げで負けた。それもあった…捨て身でいってもよかったが」と唇を噛みしめ、「全日本は日本一をきめる大会。みんな試合に懸ける思いは強い。でも見ているお客さんはそこは分からない。申し訳ない」と、謝罪した。
佐藤も「両者反則負けは悔しいというか情けない。もう1つ深いところを取りにいくことができなかった。GSに入れば、相手も出てくるし、(引き手を)取れるだろうという甘い気持ちがあった」と、悔恨した。
両者反則負けにより、この試合の勝者が対戦する予定だった小川雄勢(パーク24)は準々決勝で試合を行わず、準決勝に進んだ。