サニブラウン9秒99「ほぼ誤差かな」東京五輪の参加標準記録も突破

 サニブラウン・ハキーム
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 「陸上・米大学南東地区選手権」(11日、フェイエットビル)

 サニブラウン・ハキーム(20)=米フロリダ大=が日本人2人目の9秒台となる9秒99(追い風1・8メートル)をマークし、優勝した。これまでの自己ベストを0秒06更新。桐生祥秀(日本生命)の日本記録9秒98にはわずかに及ばなかったが、20年東京五輪の参加標準記録(10秒05)は突破し、五輪出場へ大きく前進した。サニブラウンは疲労を考慮し、その後の200メートル決勝を棄権。次戦は23日からフロリダ州ジャクソンビルで行われる全米学生選手権東地区予選で、さらなる記録更新の期待が懸かる。

 “壁”など存在しないかのように、あっさりと突き破った。1・8メートルの追い風にも乗り、中盤から一気の加速で駆け抜けたサニブラウン。速報値の「10秒00」に少し顔をしかめたが、その後、「9秒99」と表示されると頬を緩めた。日本人2人目の9秒台。ただ、感慨はなく「そんなに速く走っている感じはなかった。(9秒台は)そのうち出ると思っていたし、99なんでほぼ誤差かな」と笑った。

 我慢の時を経て、怪物は再び“成長期”に突入した。この大会には苦い思い出があった。昨年、200メートル予選で右脚付け根を痛め、残るシーズンを棒に振った。トラックに戻ったのは8月中旬。地道なトレーニング、リハビリに費やした。

 「今となっては自分を見つめ直すことができて良かった。やってきたことが身になっている」。冬の室内シーズンは60メートルに本格的に取り組み、課題のスタートを改善。3月に室内日本記録に並ぶ6秒54を出した。身長188センチの体と、それを操る技術を磨き、この日も「スムーズに出られた部分はあった」と自然に鋭く加速した。経験と時間を無駄にせず、また一つ進化の階段を上がった。

 目標を「世界記録」と掲げる20歳にとっては、9秒台突入は通過点に過ぎない。まず桐生祥秀(日本生命)の持つ9秒98の日本記録更新に期待が膨らむが「そのうち、切れるんじゃないですか」と淡々。視線の先には、昨季挑むことのできなかった学生王者への戦いがある。「(6月の)全米学生選手権で100、200メートルの2冠ができればいい」と、これまで日本人には夢物語でしかなかった、陸上大国でのタイトルに照準を定めた。

 6月下旬の日本選手権(福岡)では、桐生との9秒台対決も控える。「まずやるべきことをやって、次の大会、全米学生選手権、日本選手権とつなげていきたい」。史上最年少の18歳で200メートルの決勝進出(7位)を果たした17年世界選手権から2年。いよいよ世界でのメダルも視野に、サニブラウンの再進撃が始まった。

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