白井健三 初めて漏らした「体操を辞めたい」失意のどん底から脱却 逆転代表へ光
「体操・NHK杯」(19日、武蔵野の森総合スポーツプラザ)
男子が行われ、全日本選手権30位で、出場選手中最下位からスタートした白井健三(22)=日体大大学院=は、左足首の怪我からの復活途上ながら床で全体2位の14・500点などをマークし、合計得点243・794点で23位まで順位を上げた。
「最低限、自分らしい我慢できる演技ができた。これでまた体力、技術が向上する大会になったと思う」と、ホッとした笑顔を浮かべた。
4月の全日本決勝では鉄棒で2度落下するなど精彩を欠いた。得意の床ではきっちりと着地を決め続けたが、思ったようなEスコアをもらえず「意味が分からなかった」と、苦悩した。全日本後はどん底に。
「1週間は本当に腐っていて、辞めたいって正直に言いました。『今、したいことは?』って聞かれたら、体操を辞めることって答えた。他の人にそんなことを言ったのは初めてだったと思う」-。
それでも、ジュニア時代のコーチや、日体大で練習する後輩たちの慰めの言葉や、姿に「もう2度とあんな演技をしちゃいけない」と、再起を決意。床や鉄棒の構成を上げ、白井健三らしい攻めの戦いで今大会を乗り切った。「あの(気持ちの)波があったから今日の演技ができたと思う」と、うなずいた。
世界選手権(10月開幕、シュツットガルト)代表入りへは、6月の全日本種目別(高崎)が勝負となる。得意の床と跳馬を中心とした貢献度で残り2枠を狙う。「高崎に向けて、間違いなくいい形で臨める」。失意のどん底から復活した“ひねり王子”。次も迷いなく、攻めきる。