ボクシング東京五輪存続も…AIBA抜きで 階級決定、審判確保など前途多難
国際オリンピック委員会(IOC)は22日、スイスのローザンヌで開いた理事会で、2020年東京五輪の実施競技から除外の可能性もあったボクシングを存続させる方針を決めた。組織運営や財政、審判に問題を抱えている国際ボクシング協会(AIBA)にはIOC承認団体の資格停止処分を科す見通しで、6月の総会で正式決定する。日本連盟は23日に都内で会見を行い、内田貞信会長は「本当にうれしい。世界のファン、選手もこの決定を待っていた」と喜びの声を上げた。
東京五輪実施が危ぶまれていたボクシングが最大のピンチを脱した。統括団体のAIBAは麻薬売買に関わっているとされたラヒモフ前会長が3月に退任したものの数々の問題を自浄したとはいえず、IOCは同団体を排除する異例の措置で選手の救済を優先。代わりにIOCが置く特別作業部会が五輪の大会運営を主導することになり、同委員で国際体操連盟(FIG)会長の渡辺守成氏が座長を務めることになった。
日本連盟の内田会長は待ちに待った吉報に安どの笑みを浮かべた。国内の選手、関係者からもLINEでのメッセージが殺到し「みんなすごくうれしいと思う」と喜びを代弁した。ただ、男子8、女子5階級で計286人の出場枠に変更はないが、実施階級すら依然決まっていない。作業部会が6月末までに予選方式も含めて決定するが、急ピッチでの準備が迫られるため今後も混乱は必至。AIBAを排除したことで競技の根幹である審判の確保なども不透明だ。
一難去ってまた一難。日本連盟の菊池浩吉副会長は「クリアしないといけない壁が高すぎてビックリしている。うれしい場なので言わないようにと思っていたが(笑)。喜びもつかの間、大変だなと」とため息も漏らした。それでも競技実施は約束されただけに「いよいよモチベーションを上げていける環境づくりをする。選手は試合に向けて集中してほしい」と力を込めた。