川内優輝 MGC辞退も東京五輪狙う 残り1枠争うMGCファイナルチャレンジ挑戦へ
日本陸上連盟は28日、世界選手権(9月開幕・カタール、ドーハ)の男女マラソン、50キロ競歩代表を発表した。男子マラソンでは4月にプロランナーに転向した“元公務員ランナー”の川内優輝(32)=あいおいニッセイ同和損保=が、2大会連続4度目の代表入りを果たした。同時期に行われる東京五輪代表選考会のマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)は辞退となったが、残り1枠を争うMGCファイナルチャレンジでの五輪挑戦には色気をみせた。
目の前に置かれた高すぎる“ハードル”。越えたくなるのがプロになった男のさがか。従来の意向通りにMGCではなく、世界選手権を選んだ川内。東京五輪代表入りへは、残る1枠を争うMGCファイナルチャレンジの可能性のみとなった。設定記録は大迫傑の持つ日本記録を1秒上回る2時間5分49秒。自己ベスト2時間8分14秒を6年間更新できてない川内にとっては、絶望的な条件だ。それでも言った。
「走る以上、そういう(設定)記録があるなら狙っていく」
根っからの挑戦者が、初めて照準の先に東京五輪を定めた。
苦手とする暑さを理由に、自国開催の夢舞台には消極的だった。ただ酷暑への懸念が広がり、スタート時間はどんどん繰り上がり、午前6時に。「走れない条件ではなくなってきた」。異例の23時59分スタートのドーハ世界選手権に向け予定を組んできたためMGCこそ辞退となったが、世界選手権が終われば、十分にターゲットになりうる舞台だ。
まずは2年前、わずか3秒差で入賞を逃した世界選手権に全力を注ぐ。前回大会後、一度は日本代表引退を表明。ただ公務員という安定を捨ててまで、再び日の丸を背負う覚悟を決めた。「プロとして自分が思うように調整できる中で、どれだけ成長できるか楽しみ。世界選手権で入賞できれば、もっと欲が出る。見ている人に“川内は市民ランナーで越えられなかった壁を、プロで越えたな”と思ってもらえるようにしたい」。ドーハ経由で東京へ。川内らしく破天荒に、奇跡に挑む。