日本体操協会は８日、都内で理事会を開催し、腰痛の影響でＮＨＫ杯を欠場し、今年１０月の世界選手権（ドイツ、シュツットガルト）代表入りが絶望的となった１８年世界選手権個人総合銀メダリストの村上茉愛（２２）＝日体ク＝の“救済措置”について話し合ったが、反対多数で否決された。

　村上は５月のＮＨＫ杯直前の練習で腰痛を悪化。最低条件だったＮＨＫ杯１２位以内がなくなり、現在の規定では２０年東京五輪の団体出場枠が懸かる今年の世界選手権（１０月開幕・ドイツ、シュツットガルト）代表入りの可能性が消滅した。ただ、田中光女子強化本部長（４６）ら強化本部で話し合いを設け、選考要項にある「ＮＨＫ杯１２位以内（ナショナル強化選手）」について、強化推薦によるナショナル強化選手を含めるように解釈を広げること、または２２日に開幕する全日本種目別（高崎）での村上の状態などを確認し、再度検証することなどを理事会に提案。ただ、塚原光男副会長が「後付けで選考することはあってはならない。過去の選考でも特別な選考はあったが、チームワークに問題が出て、メダルには届かなかった。成功した例はない」として反対。また、「強化本部としてこうしたいというのを決めて提案してほしい」などという意見もあり、紛糾した。最終的には反対多数で否決された。

　団体枠獲得には、世界選手権ですでに出場枠を獲得している米国、ロシア、中国を除く上位９カ国に入る必要がある。昨年の世界選手権団体で、日本女子は６位。村上抜きでも米国、ロシア、中国を除いた９位以内に入れる可能性は十分にある。田中強化本部長によると、村上の４月全日本選手権時の得点を当てはめると、１・４から１・５点の上積みが見込め、昨年の世界選手権時の得点を当てはめると、３から４点の上積みが見込めるという。昨年の世界選手権の予選通過（８位以内）ラインは１６１・０７１点（ドイツ）で、３カ国を含めた９位以内となる１２位のラインは１５６・８３０点（イタリア）。田中強化本部長は１６０点を五輪出場枠獲得のボーダーラインに設定している。「普通にやれば大丈夫」としたが、今後不測の事態が起きた場合は苦しくなる可能性はある。

　ただ、これで村上の代表入りは消滅。田中強化本部長は「仕方がない。腹をくくってやるしかない」と、話した。