「陸上・全米大学選手権」（７日、米テキサス州オースティン）

　男子１００メートルの決勝が行われ、サニブラウン・ハキーム（２０）＝米フロリダ大＝が日本記録を更新し、日本人初の２度目の９秒台となるとなる９秒９７（追い風０・８メートル）で３位に入った。１７年９月に桐生祥秀（現日本生命）がマークした９秒９８の日本記録を０秒０１更新。１００メートルから４５分後に行われた同２００メートル決勝では日本歴代２位の２０秒０８で３位に入った。４００メートルリレー決勝では第２走者として今季世界最高となる３７秒９７での優勝に貢献。０８年北京五輪男子４００メートルリレー銀メダリストの朝原宣治氏は、過密３種目の中での日本新はすごいと指摘した。

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　もはやタイムへの驚きはありませんが、２００メートル、４００メートルリレーとの３種目という過密なスケジュールの中でこの記録を出したことはすごいとしか言いようがありません。

　スタートはあまり良くなかったですが、加速もちゃんとできていて中盤までは良かった。「後半にストライドが伸びてしまった」と話していたそうですが、優勝のオドゥドゥル選手はサニブラウン選手とほぼ同じ歩数で走っていて最後まで全くピッチが落ちず９秒８６。一緒に走っていて間延びしてしまったと感じたのでしょうが、あのレベルの戦いだからこそ感じられた感覚で、自分に求めるものも大きいのでしょう。

　今でも条件が整えば９秒９台の前半は軽く出せると思いますが、彼の強さは持ちタイムをどこでも出せるところ。本来、自己記録と“戦うタイム”はなかなか一致しないのですが、彼は誰が相手でもどんな舞台でも出せる。大学選手権という負けてはいけない場面で自己新記録を出したことは、ものすごく価値のあること。日本選手権での戦いも本当に楽しみです。（０８年北京五輪男子４００メートルリレー銀メダリスト、「ＮＯＢＹ　Ｔ＆Ｆ　ＣＬＵＢ」主宰）