34歳で引退の栗原恵 ベテラン像に変化「若い頃はネガティブなイメージ強かったが…」
バレーボール女子で04年アテネ五輪、08年北京五輪代表の栗原恵(34)が10日、都内で引退会見を行った。シックな黒いドレスで登場し、終始笑みを浮かべながら、「最後にコートを去るときに『バレーボールをやってきてよかった』と笑顔で言うことをずっと目標にやってきた。思い描いていた通り、チームメートに『大好き』と伝えられるくらいの(満足した)気持ちでプレーできたので、何より幸せな選手生活だった」と晴れやかに語った。
10代から日本代表でも活躍し、ベテランと呼ばれる34歳まで選手生活を駆け抜けた。ただ、競争の激しい世界で、多幸感に包まれながら自ら引き際を決めるという晩年は、若い頃には想像し得ないものだったという。
「正直、若い頃に思い描いていた自分のベテラン像は(契約を)いつ切られてもしょうがないのかなというネガティブなイメージの方が強かった。でも実際にベテランを迎えてみて、それでもまだ若い選手から『一緒にやりたい』と言っていただけるのは本当にありがたいこと」
187センチの長身から繰り出す華やかなプレーとキュートな容姿から“プリンセス・メグ”として人気を博した。その一方、度重なるケガやロンドン五輪代表落選など挫折も味わった。ただ、近年は若い頃の自分と比較することをやめたことで、バレーボールの楽しさを再発見したという。
「過去の自分と比べてしまうのが、ケガ明けの自分としてはつらくて。(以前は)できることができなくなったりとか。でも発想の転換で、今の新しい体で何ができるかを考えるようになって、ただ高く飛んで思い切り打つという頃よりも、楽しくなったのがモチベーションになった」
5月の黒鷲旗全日本選抜を最後にJTを退団し、今月4日に引退を発表。身体的には「もう1年やろうと思えばできる」というが、それでも引退を決めたのは「やり切った。コートに残したものがない」という満足感があるからだ。旧知であるJTの吉原知子監督からは慰留を受けたものの、自身の中では最後の1年間と覚悟を決めていたため、気持ちは揺るがなかったという。
「(まだ)一緒にプレーしたいと言ってもらえて、自分でピリオドを打てる選手であることが幸せだと思って、やめることを決めました」。数々の苦節もあったが、最後は笑顔で。万人に愛された“プリンセス・メグ”が17年間の現役生活に別れを告げた。