ラグビーW杯100日前 田中史朗インタビュー(1)「全員が意識が高い」代表の成長
9月20日に開幕するラグビーW杯まであと100日となった12日にあわせて、SH田中史朗(34)=キヤノン=がインタビューに応じた。全3回の(1)。
-100日前ということで率直に思うところは。
「興奮していますね。前回の大会もすごいいい状態でできました。今回はまだチームが100%できあがっていないので、そこをしっかり詰めてやっていけば、前回を超えられるようなチームになれると思う。本当に100日前で楽しみです」
-15年大会のときと比べて、チーム状況の違いは。
「前回はいろんなチームにいろんな人が行ってということになりましたけど、今はサンウルブズというチームがあって全員の戦い方の認識が一緒でプレーしているので、代表としてのラグビーの入り方も楽になっていますし、チームとして早くまとまりやすくなっている。あとはリーダーシップ。前回のW杯があったからこそ、みんなが日本代表になりたいという思いも持っていましたし、リーダーとして引っ張っていきたい気持ちも持っているので、前回よりいいチームができあがると思います」
-この3、4年間、代表のレベルは上がったか
「僕は前回、『プレー中にずっと文句を言っている』と言われていましたけどプレーしていても、今はそういう部分がまったくないですし、仮にそういうことがあってもリーダー陣が発言して、常に質の高いラグビーができているので、前回とはチームとしての意識が違います」
-今年に入ってチームを一喝したことは?
「ゼロでず。みんなの意識が高いので。意識を低くしている人もいないですし、もしそういう人がいれば周りが声を出し『こうしよう』、とみんながいう。昔のだらだらした日本代表ラグビーはないので、そこは本当に成長したところだと思います」
-一喝したことがないというのは、今までなかったですか? 「(代表では)3人のヘッドコーチとやっていますが、1人目2人目はしっかりと自分で声を出してゲキを飛ばしていましたけど、今はそういうのが必要のないレベルに来ていますね」
-若手の選手たちもそういうマインド?
「リーチ(・マイケル主将)が高い意識でチームを引っ張ってくれている。そのリーチを見て全員がプレーしているので、全員が意識が高い状態ができています」
-リーチの15年との違いは
「自信に満ちあふれていますね。(スーパーラグビーの)チーフスで培われた能力であったり、今までずっと、しんどいこともジャパンでもやってきたりしているので、そういうことも踏まえて自信になって、彼のプレーに出ていると思う。今はケガをしてしんどい時期を過ごしていますけど、彼がいるといないとでジャパンは変わってきますし、彼がいるからこそ代表は今うまく動いていると思います」
-BKは経験者が3人抜けたが、W杯の経験を伝えたりは。
「新しい選手には伝えたいなと思っています。W杯と普通のインターナショナルな試合は違うというのを自分の経験を元に伝えている。南アフリカ戦も見てもらっているので、みんな気づいていると思う。分からない選手がいればそういう話をしたいなと思います」
-外国出身選手が増えている中で意識するところは
「外国人の中に入って、日本人を引き入れたりっていうのはしようと意識していますね。外国人は固まったりするので。でもトンガ人は日本語もしゃべれるので不安はないですけど、話せない選手を引き入れたり、トンガ人とかヘンリー(・ジェイミー)とかに話をしてもらって、チームとして会話できるようにしています」
-そのへんの雰囲気は15年とは 「やっぱり15年の方がみんなが常にマッチしてというか、一緒になっていろんなことができていたかなと思います。まだまだ時間がありますし、別に仲が悪いわけではないので。不安はないですけど、もっとチームとして密着して一つのチームとしてできるように声をかけていきたいと思います。もっと日本の文化に染めるというか、日本の文化を理解してもらってチームとしてやっていきたいと思います」