新入幕・貴源治 八村抑えた力でV狙う…中学時代にバスケで対戦
「大相撲名古屋場所」(7月7日初日、ドルフィンズアリーナ)
名古屋場所の新番付が24日、発表され、入門6年半で貴源治(22)=千賀ノ浦=が新入幕を果たした。双子の兄・十両貴ノ富士とともに中学時代はバスケットボールの有望株として注目され、先日のNBAドラフトでウィザーズから1巡目(全体9位)指名された八村塁(21)=米ゴンザガ大=はしのぎを削った同級生だった。出世争いでビッグなライバルを刺激にする。先場所、平幕で初優勝した朝乃山(高砂)は新三役はならず東前頭筆頭にとどまった。こちらも同じ富山県出身の八村に負けない活躍を誓った。
出世を争うには、これ以上ないライバルが誕生した。NBAドラフト1巡目指名の快挙を果たした八村に貴源治は「それぞれの道でそれぞれの道を極めていきたい」と、負けん気をたぎらせた。
兄の貴ノ富士とともに中学バスケ界で将来を嘱望された。境第一中では双子で茨城県選抜に入り全国3位。富山市奥田中の主力だった八村とは中学2年時の静岡遠征で初めて出会った。強豪校同士、意地のぶつかる激しい試合だったが、双子が八村を抑えて勝利した。
「ほとんど仕事をさせなかった。フィジカルで負けない」と貴源治は胸を張った。それでも、当時から身体能力は際立っていた。「手足が長い。パス感覚が狂った」。中学3年になれば成長力でも圧倒された。数カ月ぶりに再会した際には身長が5センチ以上も伸びて195センチ近くとなっており、舌を巻いたという。
日本選手にはないフィジカルの強さを持つ双子は延岡学園、土浦日大というバスケットの強豪校からスカウトも来た。試合を期に交流が深まった八村からは「一緒の高校に行こう」と誘われ、3人で高校の頂点を目指すことを熱望された。それでも両親の勧めもあり、中学卒業後に貴乃花部屋の門をたたいた。
八村の中学の指導者は「双子に負けず頑張れ」と八村にハッパをかけていたという。「うれしかった」と貴源治。角界でさらに高みを目指し、いつか再会をすることを望む。
年は1つ上ながら入門は2年後輩の大関貴景勝も発奮材料。「負けたくない」と背中を追う。入門6年半で到達した新入幕の目標を問われると「優勝を狙っていく」と、強気に言い切った。