内村航平、認めた「挫折」 東京五輪へ「リセット」し再出発
体操男子の個人総合五輪2連覇王者の内村航平(30)=リンガーハット=が26日、都内で練習を公開した。両肩痛の影響もあり、4月の全日本選手権でまさかの予選落ち。08年北京五輪から続いていた世界大会出場は11年連続で途切れた。2カ月ぶりの公の場で現在の心境を語った。
痛みに表情を歪め、マットにはいつくばった。悪夢のような全日本から2カ月。結果をしっかりと受け止め、前に進もうとする内村の姿があった。この2カ月間、「色々なことを考えた」という。その中で「(両肩痛で思うように練習が積めず)全日本の前は体操をやるのが嫌だった。なんのためにやっているんだろうって、ずっと自分に問い続けていた。そもそも体操をやる状態じゃなかったんだと思う。そう考えれば、あの結果は当然。下を向く必要はないんじゃないかと」と、気持ちを切りかえた。
五輪前年の世界選手権に出られない。かつてない逆境にいることは分かっている。「なかなか挫折というのはなかったので。17年の怪我をして、18年も怪我をしたけど、あれはまだ挫折じゃなかった。かなり大きな試練をもらったと思う。ちょっと超えられない壁。超えられそうにない壁を頂いた」と、認めた。
ただ、だからこそ開き直れる。「これは必然。なるべくしてなった。でも1年前で良かった。代表に入り続けると、なかなか体のケアができない。リセットして1から体操を楽しみたい」。険しさを増すTOKYOへの道。ただ、これまでもこの男は不可能を可能に変えてきた。
「(全日本直後は)東京五輪は夢物語と言ったけど、今は夢。夢物語だと実現しなさそうなので。叶えられる、叶えなければいけない夢だと思ってる。それは自信もあるということ。練習を積めて、ちゃんとした演技ができれば、間違いなく実現できる」-。
この日の練習では鉄棒の大技ブレトシュナイダーを練習。平行棒では基本的な技を入念に確認した。復帰戦は8月末の全日本シニア(福井)。内村航平はまだ終わっちゃいない。