飛び込み・荒井祭里 東京五輪女子1号「まさか五輪選手に…」
「水泳・世界選手権」(16日、光州)
飛び込み女子で18歳の荒井祭里(JSS宝塚)が事実上東京五輪代表に内定した。女子高飛び込み準決勝で312・45点の10位となり、12人が進む17日の決勝進出が決定。棄権などのアクシデントがなければ、男子シンクロ板飛び込みの寺内健、坂井丞(ミキハウス)組に続く代表入りで、女子では日本勢第1号となる。15歳の金戸凜(セントラルスポーツ)は17位で、今大会での五輪出場権獲得を逃した。アーティスティックスイミング(AS)のチーム・テクニカルルーティン(TR)決勝の日本は92・7207点の4位で、3大会連続のメダル獲得を逃した。
わずか2秒ほどの演技に思いを込める。必ず12位以内に入って決勝に残りたい。その思いが予選は空回りしたが、勝負の準決勝はひと味違った。反省を生かし、緊張を力に変え「いい感じに集中して飛べた」。冷静に、強い気持ちで飛んだ最後5本目。後ろ宙返り2回半1回半ひねりえび型をきっちりと決めると、馬淵崇英コーチは両手でガッツポーズ。順位が確定すると荒井はコーチの胸で涙した。「本当にうれしいです」。同じ宝塚を拠点とする大先輩の寺内健に続いて東京五輪行きの切符を手中に収め、ホッと表情を緩めた。
小学1年から競技を始めたが「まさか五輪選手にできると思わなかった。五輪で戦おうと思うと普通以下の選手」と馬淵コーチ。コツコツと、コーチが「止めるほどやる」という地道な努力で世界の舞台まで上り詰めた。
マンションの3、4階の高さから水面へ向かう飛び込みでケガはつきもの。しかし荒井は2年ほど前に左手首の疲労骨折を負った以外、大きなケガがないという。練習の継続はもちろん、恐怖心から競技に集中できなくなる選手もいるというが、その心配は皆無。家では毎日30分ほどお風呂につかり、心身ともにリラックスしスイッチを切り替える。荒井自身は「丈夫な方かな」と首をかしげるが、無事これ名馬とはまさに彼女のこと。この日も「練習通り」を意識し好演技につなげた。
「周りに人が集まるように」と付けられた祭里の名。1年後の夢舞台、4年に1度のスポーツの祭典で世界中を魅了する。