安美錦、思い出の一番は幕内復帰の千代翔馬戦「あの一番は何物にも代えられない」

引退会見で涙を見せる安美錦
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 「大相撲名古屋場所12日目」(18日、ドルフィンズアリーナ)

 関取最年長、元関脇安美錦(40)=伊勢ケ浜=が18日、名古屋市ドルフィンズアリーナで現役引退と年寄「安治川」襲名の会見を行った。

 「安美錦は引退し今後は年寄、安治川として後進の指導にあたります。青森の方々、後援会、指導してくれた先生、たくさんの人に支えられた。父、母、伊勢ケ浜親方、支えてくれた妻、元気をくれた子供達に感謝したい」と22年半の土俵生活に別れを告げた。

 現役の大半はケガとの戦いだった。03年に右膝前十字靱帯断裂、半月板損傷を損傷。その後も古傷は何度も重症を繰り返し、その後、左アキレス腱も断裂した。右膝には装具。サポーターで覆われた下半身で土俵に立ち続けた。魁皇と並ぶ歴代トップの関取在位117場所。通算勝ち星は歴代8位の907勝。昨年夏場所は昭和以降最高齢となる39歳6カ月で再入幕した。

 ボロボロになるまで戦い抜いた。「すっきりしている。やることはすべてやった。悔いは全くない」。涙はなく、晴れやかな表情を浮かべた。

 ケガがあったから、40歳まで続けられた。「(ケガとの)戦いというよりこのケガと一緒にここまで強くなった。一緒にやってきた仲間。しっかりと相撲と向き合えたのはケガがあったから。ケガに感謝している」。

 数々の記録で大相撲史に名を刻んだ。「褒めてやりたいけど記録を目指してやったわけじゃない。土俵に毎日上がることを目指してやった結果。その結果はうれしい」。関取在位1位に関しては「ケガで休場も多かった。関取を保ち続けたのは今後に生きると思う。魁皇関の記録に並べたのは光栄。抜きたかったけど」と笑った。

 祖父が元出羽海部屋力士、兄は元幕内の安壮富士。父は地元相撲クラブの指導者で師匠・伊勢ケ浜親方のいとこという相撲一家。97年初場所で初土俵を踏み00年初場所で新十両、同名古屋場所で新入幕。03年初場所で横綱貴乃花から初金星を挙げ、この一番で貴乃花は引退した。

 思い出に残る一番は17年九州場所。幕内復帰し、千秋楽、千代翔馬を上手出し投げで下し、勝ち越し。敢闘賞を獲得した。「ケガして復帰して勝ち越して三賞をもらえたのが心に残っている。つらい状況であそこまで戻って来れた。家族の支え、みんなの支えで結果を出せた。あの一番は何物にも代えられない瞬間だった」と振り返っていた。

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