鶴竜、自己新初日から12連勝 安美錦ほうふつ!キレキレ連続技でV6へ前進

 「大相撲名古屋場所・12日目」(18日、ドルフィンアリーナ)

 横綱鶴竜が平幕千代大龍を裾払いで一蹴し、自己新となる初日から12連勝に伸ばした。単独トップをキープし、7場所ぶり6度目の優勝へラストスパートだ。横綱白鵬が関脇御嶽海を寄り切って11勝目(1敗)を挙げて1差ピタリ追走。平幕照強が妙義龍を破り、初の2桁10勝目で2敗を守った。

 鶴竜が破壊力満点の巨漢・千代大龍をまさに一蹴した。頭で当たって素早い右上手。出し投げを打ちながら右足を相手の左足に飛ばすと、198キロが尻からドスンと落ちた。「体が勝手に反応した。しっかり自分の相撲に集中できている」。終盤戦、勝負勘が研ぎ澄まされている。

 出し投げ、裾払いと連続技のキレ。この日、引退会見した安美錦(現安治川親方)を思い出す。鶴竜が番付を駆け上がった頃、どうやっても勝てなかった業師。「ある意味、壁。強くなるのに欠かせない人材だった」と、手本にし成長した。

 相撲だけじゃない。野球、サッカー、バスケットボール、ボクシング、ゴルフなどスポーツ観戦を趣味とし、他競技から多くを吸収している。プレー、選手、監督や戦術、語り出したら止まらない。

 かつて大リーガー・イチロー氏が語っていた「その打席でしか感じられないものがある」との言葉に共鳴した。「本場所、土俵に上がらないと経験、勉強にならない。そういう面で共通点」。たった1打席、一番の持つ重い意味をトップ選手だからこそ熟知する。

 場所前、腰痛を発症しながら、その一番を積み重ね、初日から12連勝。自己新記録に達した。「きょう終わってまたあした集中する。その繰り返しで最後までいきたい」。場所前、七夕の短冊に記した願い事「V6」が近づいてきた。

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