鶴竜、念願の全国制覇 や~っと名古屋で賜杯!休場危機はねのけ横綱対決制した
「大相撲名古屋場所・千秋楽」(21日、ドルフィンズアリーナ)
横綱在位が歴代10位タイの32場所となった鶴竜が7場所ぶり6度目、令和で初の優勝を飾った。横綱同士、結びの一番、寄り切って14勝目(1敗)を挙げ、1差で追走していた白鵬を振り切った。3年連続で途中休場していた名古屋で念願の初賜杯。場所前に腰痛を発症し、ほぼぶっつけ本番も執念で戦い抜き、大関4人が休場した異常事態場所で貫禄を示した。関取最小兵の炎鵬が技能賞、友風が殊勲賞、照強が敢闘賞をそれぞれ初受賞した。遠藤は3度目の技能賞に輝いた。
逆転Vを狙う白鵬の気迫に鶴竜が一歩も引かなかった。仕切りでじっと相手の目を見つめ闘志。いざ立ち合いは五分。右四つから巻き替えの応酬で左四つに変わる。ハイレベルな攻防を最後はもろ差しに持ち込み制した。
7勝41敗と負け越していた大横綱を執念で振り切って7場所ぶり6度目の賜杯を抱いた。支えたのは名古屋への思い。同地では3年連続途中休場していた。東京、大阪、九州は制しながら名古屋は鬼門。ファンから「名古屋だけまだですね」と言われ、申し訳ない気持ちだった。優勝インタビューでは「いい報告ができた。本当に最高」と声援に応えた。
場所1週間前に腰痛を発症した。「最後、こんな形で終わると思えない状態」と言う休場危機。師匠の井筒親方(元関脇逆鉾)は「1週間、まわしも着けない状態だった。初日は見切り発車」とぶっつけ本番だった。
若い時に限界まで追い込んだ日々があるから手負いでも戦い抜ける。鶴竜は巡業で稽古が少ない若手には厳しい。「巡業で認められ横綱、大関の胸を借りて強くなる。『若い時は稽古で調整するな』と言われたけどね」。8月10日で34歳になるが若い頃の“貯金”の大切さを身を持って示した。「まだ負けない」と壁になった。
「腐らず自分と向き合った」。右足首の負傷を繰り返し、腰痛も持病。それでも妻、2人の子供に支えられた。5月22日に2歳になった長男・アマルバイスガラン君は父が力士と分かっている。「土俵入りをするんですよ」。愛息が横綱土俵入りをする映像を見ては元気をもらった。
横綱在位32場所は歴代10位タイ。トップ10には白鵬、北の湖、千代の富士、大鵬、貴乃花…と名横綱が並ぶ。この日でちょうど幕内1000回出場に花を添えた。人柄同様、ひたむきな歩みで横綱史に名を刻んでいく。