鶴竜一夜明け 愚直で真っすぐ「“鶴竜らしく”やっていきたい」
大相撲名古屋場所で7場所ぶり6度目優勝を果たした横綱鶴竜(33)=井筒=が22日、優勝一夜明け会見を名古屋市内で行った。「すごくいい気分で目が覚めた。名古屋は違った意味で思い入れがあった」。念願の名古屋初賜杯をかみしめた。
名古屋では3年連続途中休場しており、今年も場所の1週間前に腰痛を発症。「とりあえず出てと考えて始まった」とぶっつけだった。場所前は1日、2度、整体などケア。場所中も毎日、整体師のもとに通った。
「一日一日を大切に集中して。4、5日目までは油断できない状態。日に日にという感じだった」。またいつ途中休場する危機と隣り合わせだった。
「腰に負担をかけない相撲を考えたのが良かった」と前に出る速攻相撲で星を重ねた。6日目以降は痛み止めの薬も必要なくなった。自己新の12連勝と快進撃した。
13日目に新鋭の友風(尾車)に不覚を取ったが、これで「一気にいろんなものを吐き出した。真っさらにした」とリセットした。
これまでは「どうしても優勝したい」、「全勝優勝したい」との思いが浮かぶと「あっ」となって連敗癖が出た。今回は「何があっても集中を切らさない」と雑念を振り払い、千秋楽、横綱戦、1差で追っていた白鵬(宮城野)戦の完勝につながった。
昨年名古屋場所から御嶽海(出羽海)、貴景勝(千賀ノ浦)、朝乃山(高砂)と若手の優勝も目立った。「優勝チャンスを与えてしまったのは横綱の責任を感じた。いずれは若手が出てきて世代交代していくものだけど、そのチャンスを与えてしまったのは横綱として悔しい思いがあった」と番付の重みを示した。
8月10日に34歳誕生日を迎える。「本当に日々成長したいという思いでやってきた。またその気持ちは変わらずまた自分の相撲を良くしていきたい」と、前だけを見据えた。
横綱在位32場所は歴代10位タイにランクされた。トップ10には白鵬、北の湖、千代の富、大鵬、貴乃花…とそうそうたる名横綱が並ぶ。「場所数だけで休場が多いので入っていいのかなという思いはありますが、それは一つ結果としてまた日々、“鶴竜らしく”やっていきたい」。
愚直で真っすぐな鶴竜らしさを貫いていく。「自分1人じゃない。いろんな人の支えがあって土俵に上がっている。今回の優勝は特にそう。気持ちが折れそうになり、またケガかと。応援してくれる方の顔を見ると力をもらえると今場所、改めて感じた」。
特に名古屋は鬼門だった。「名古屋の人たちは3年申し訳ない、という思い。いい報告できて本当にうれしかった。そういう人たちの良かったという顔を見ると、あー良かったと。自分が優勝したことよりその方たちの喜ぶ顔を見るのが何より」と、格別な優勝となった。