萩野、再出発3位 168日ぶり復帰戦 歓声、拍手に感謝「何て幸せ者」
「競泳・W杯東京大会」(3日、東京辰巳国際水泳場)
男子200メートル個人メドレー決勝で、不振による休養から168日ぶりに実戦復帰した萩野公介(24)=ブリヂストン=は2分0秒03で3位となった。強化に必要な国立スポーツ科学センター(東京)の使用基準であるインターナショナル標準記録(1分59秒23)は切れなかったが、明るい表情でレースを終えた。女子400メートル個人メドレーで世界選手権銅メダルの大橋悠依(23)=イトマン東進=は4分34秒27で2位だった。
この緊張感。高揚感。金メダリスト萩野が勝負のプールに帰ってきた。168日ぶりの復帰戦。レースを前に「正直緊張したし、大丈夫かなって気持ちもあった」という。しかし、決勝レースへ向けた入場時には、この日一番の歓声と拍手がスタンドから注がれた。
「名前を呼ばれて、温かい拍手と声を聞いたら大丈夫だなって思えた」。記録は自己ベストより約5秒遅く、10年前に自身が出した中学記録にも及ばない。それでも「素晴らしい環境で、たくさんの人の前で僕の好きな水泳を見てもらって、応援してもらって、なんて幸せ者なんだろうと思った」と勝負の喜びをかみしめた。
東京五輪前年というタイミングでの休養の決断。本格的な練習を再開してまだ1カ月しかたっておらず、午前と午後の2回練習も約2週間しかできていない。「練習不足」と自戒したが「1カ月ちょっとで体重が5キロくらい落ちた。人間やれば何でもできる」と萩野は言う。
「東京五輪に向けて最短の道ではなかったかもしれないけど、僕の中では『それがあったから』と今は思う。これが必ず東京の本番で生きてくる。世界中にライバルはいるけど、出るからには1番を目指したい」と萩野。自分の選択に誇りを持っているからこそ、選んだこの道は必ず金メダルへと続いていると、萩野は信じている。