楢崎智亜 圧巻の金!目指すは「世界一」五輪切符獲りへ格の違い見せ付けた

 「スポーツクライミング・世界選手権」(13日、エスフォルタアリーナ八王子)

 6人による決勝で男子は楢崎智亜(23)=TEAM au=が4課題(コース)で2完登をマークし、2016年以来2大会ぶり2度目の優勝を果たした。日本男子はこの種目で3大会連続の金メダル。女子は2完登だった野口啓代(30)=TEAM au=が2大会連続の銀メダルを獲得。3完登のヤンヤ・ガルンブレト(スロベニア)が2連覇した。他の日本勢は男子の藤井快(TEAM au)が4位、土肥圭太(鹿児島県連盟)が5位。女子は野中生萌(XFLAG)が5位、倉菜々子(ウィルスタッフ)が6位だった。14日は男女のリード予選が行われる。

 握りしめた右拳には、取り戻した誇りと自らのアイデンティティー(存在意義)が詰まっていた。難攻不落の課題が続いた決勝。それでも楢崎智だけは、屈しない。三日月型のホールドが複雑にちりばめられた第1課題を持ち前のアクロバティックな動きを駆使しながら6度目のトライで完登すると、しなやかさと粘り強さが必要な第3課題も、苦戦しつつも6度目の挑戦でクリア。「最初の課題で自分に流れがきてるなと思った。第3課題を登った時に、決まったなと思いました」。1課題を残し、あっさりと優勝を決めた。

 五輪切符の懸かる19日からの複合に向けて、最高のデモンストレーションとなった。ボルダリング、リード、スピードの3種目で争われる複合。五輪の方式が決まって以降、すべての強化に取り組んできたが、本職はボルダリング。「最近は複合をやり始めてから、何が専門か分からなくなっていた。でもやっぱり僕はボルダリングの選手。そこはこだわりをもってやらないと」。誰よりも長い時間を割き、誰よりも考え抜いてきた自負がある。自らの譲れない“戦場”で、きっちりプライドを示した。

 ボルダリングでの圧倒的な強さはライバルたちへの強烈な重圧となる。「3年前より引き出しは増えたし、間違いなく成長してる。強いと思わせることは、相手にプレッシャーをかける意味でも大事。五輪切符の日本人最上位じゃなくて、世界一を狙ってる。まずいい流れがつかめた」。1年後に控える夢舞台に向け、誰が最強かを知らしめる。日本のエースは止まらない。

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