男子走り幅跳びで“珍事” 27年ぶり日本記録更新…も30分後にさらに更新
「陸上・アスリートナイトゲームズ・イン福井」(17日、福井県営陸上競技場)
新設大会が開催され、男子走り幅跳びで城山正太郎(24)=ゼンリン=が8メートル40の日本記録を樹立した。これまでの自己記録である8メートル01を39センチ更新し、今季世界ランク2位の大記録となった。直前に日本選手権3連覇中の橋岡優輝(20)=日大=が8メートル32で指導を受ける森長正樹コーチが、1992年に出した日本記録8メートル25を27年ぶりに更新していたが、その約30分後に塗り替えられた。
この競技場には“陸上日本記録の女神”が住んでいるのか。2年前に桐生祥秀が日本人初の9秒台となる9秒98をマークしたことを記念して、その“9・98スタジアム”で新設された大会。今度は走り幅跳びで27年ぶりに更新された日本記録が、さらに更新されるという“珍事”が起こった。
まずは“本命”日本選手権3連覇中の橋岡が歴史の壁を越えた。陸上界では男子100メートルで日本記録を樹立したサニブラウン・ハキームと同世代がビッグジャンプを披露した。1本目、しなやかなステップから1・6メートルの絶好の追い風に乗り、美しい放物線を描いて8メートルラインを大きく越えて砂上へ。約1分後に示された記録は8メートル32。これまでどうしても届かなかった“師匠”の森長コーチの日本記録8メートル25を大幅に超えてみせた。ただ、手応えとのギャップがあったのか、一度端正なマスクを緩ませた後、何度も何度も首をかしげていた。
そのもやもやは30分後に的中する。今大会まで自己ベストが日本歴代19位の8メートル01だった伏兵・城山が、自己記録を39センチ更新する8メートル40をマーク。「すごすぎてなんとも言えない。まさか40とは」と目を丸くした24歳。今季世界ランク2位のビッグジャンプで記念すべき第1回大会の優勝をかっさらった。
わずか30分間の日本記録保持者だった橋岡は「(悔しさは)ちょっとどころではない」と苦笑い。「でも1番最初に超えたのは僕なので」と言い張りつつ「うれしさもある。走り幅跳びは僕が引っ張ってきた感じがあったが、ここで1回抜かれて、頑張る理由ができた。国内では絶対に負けないように、切磋琢磨していきたい」と、今後のライバル対決をにらんだ。
この日はこのほかにも男子110メートル障害で日本新、女子100メートル障害で日本タイ記録と、“日本記録ラッシュ”となっている。