リーチ主将の母イヴァさん「世界で一番うれしい母」父コリンさん「W杯は絶対見る」
遠い南の国から、常に愛息へ熱いまなざしが注がれている。ラグビー日本代表フランカーのリーチ・マイケル主将(30)=東芝=の父・コリンさん(62)はフィジー、母・イヴァさん(59)はニュージーランドに住む。日本の地で成長しW杯に臨む息子にエールを送った。
「私は世界で一番うれしい母親」。現在の息子の姿に、イヴァさんは笑顔を見せる。マイケル少年が札幌山の手高に留学したのは15歳の時。イヴァさんは「まだ若すぎる。遠い国に行ってしまうのは…と思った。日本人はみんな悪いやつに見えたし」と当初は反対したが、コリンさんの「自分の人生。やりたいことをやってくれと思った」という考えで送り出した。
フィジー出身のイヴァさんは1980年に結婚してニュージーランドのコリンさんの元へ。逆にコリンさんは17年に単身、電気も水道も通らないイヴァさんの故郷に移り住んだ。サイクロンで失われた、住民の家を建て直すためだった。
エンジニアだったコリンさんは、手作業で家を建てる技術を独学で習得。現地の人々に伝えている。「人生は永遠に続かない。次の世代に続けていく作業をしている」と話す。
そんな生活を「楽しみであって、犠牲とは思っていない」と言う。腎臓1つと肝臓の一部は、移植提供したため、ない。人のために喜んで人生を捧げる。
イヴァさんは息子を、「私に似てハンサムだけど、怒ったらお父さんに似ている」と言う。主将という立場で、時に自己犠牲を伴いながらチームを引っ張る。そんな姿に、父子を重ね合わせる。
イヴァさんは「とにかく日本に勝ってほしい」。コリンさんは「W杯はテレビで絶対に見る。(親族)みんなで見たい」。自慢の息子の姿を焼き付ける。