楢崎智、金で五輪切符「今までで1番うれしい」 複合日本人初V!東京でも金だ

 「スポーツクライミング・世界選手権」(21日、エスフォルタアリーナ八王子)

 東京五輪と同形式の3種目による複合の男子決勝が行われ、ボルダリング王者の楢崎智亜(23)=TEAM au=が複合では日本人初となる金メダルを獲得。日本連盟が定めた基準を満たし、来年の東京五輪代表に内定した。原田海(20)=日新火災=が日本勢2番手の4位となり、五輪参加資格を獲得。楢崎智の弟の楢崎明智(めいち、20)=TEAM au=は5位、藤井快(26)=TEAM au=は6位に終わった。

 1年後の初代五輪王者は、この男なのか。見る者に強烈なイメージを植え付ける圧倒的なパフォーマンスだった。楢崎智はスピードで自身の持つ日本記録を更新する6秒159をマークし2位に入ると、単種目で金メダルを獲得したボルダリングを唯一の全完登で制圧。最後のリードも2位でまとめ完勝。「世界一になればおのずとついてくる」と話していた五輪切符を有言実行でつかみ取り、「今までで1番うれしい。ホッとしてる」と涼しげに微笑んだ。

 強靱(きょうじん)なフィジカルと豊かなクライミング脳が、最強のオールラウンダーを誕生させた。弟の明智は「智くんは世界一強いクライマー。フィジカルも強いのに、誰よりも細かいテクニック、課題に対しての柔軟な姿勢がある」と話す。

 170センチ、60キロと決して大きな体ではないが、体脂肪率は驚異的な2%前後に達することもある。異名は「フィジカルモンスター」。今季はより登りだけに特化した体を作るため、マシンなどを利用した筋力トレーニングはせず、クライミングだけで徹底して鍛え上げた。筋肉の鎧(よろい)に覆われながらも、バランスの取れた肉体は壁を縦横無尽に駆け上がることを可能にする。

 課題を読み解く思考力も随一。モットーは「知識には限界があるけど、想像力には限界がない」。この日のボルダリングでも難攻不落の第1課題を一発で正解を導き出し、“一撃”クリア。続く第2課題も誰も攻略できない中、たった2度で完登。この時点でほぼ勝負を決めた。

 1年後、夢舞台への切符は得た。「金メダルを獲ることしか考えていない」。誰よりも強くなる。嫉妬すら追いつかず、憧れすら届かないほどに。発達した肩甲骨周辺の筋肉は盛り上がり、まるで羽のようになる。その翼で誰もたどり着けない高みへ舞い上がる。

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