大野、絶対王者!オール一本で3度目V 井上監督「リオ以上」五輪連覇へスキなし 

 「柔道・世界選手権」(27日、日本武道館)

 男子73キロ級は、リオデジャネイロ五輪金メダルの大野将平(27)=旭化成=が15年大会以来4年ぶり3度目の優勝を果たした。決勝では、リオ五輪銀メダルのルスタム・オルジョフ(アゼルバイジャン)を内股で破り、6試合オール一本勝ち。五輪切符を大きく近づけ、2連覇に向けてまた一歩前進した。

 リオ五輪以来となる世界舞台。しかし、ここに大野の敵はいなかった。あえて言うならば自分自身。「周りの声は『大野はなんだかんだで優勝するだろう』と。でもそれに甘えず、自分を貫いて打ち勝てた。満足と言うよりは安心の方が近い」。今回はノーシードからの出陣。最強王者の実績におごらず、「集中、執念、我慢」を掲げて自分を厳しく律し、異次元の準備を積んで畳に立つ前に勝負をつけていた。

 すさまじい殺気は健在。目の前の相手を次々となぎ倒していった。決勝は開始40秒で内股を決めたが、これは「待て」がかかっていたため“空砲”。しかし、武道館の“リクエスト”に応えるようにもう一度放った内股を完璧に決めた。「大外刈りと内股は大野将平の唯一無二の得意技ではなく“必殺技”」。代名詞でオール一本勝ちを決めると、リオ五輪決勝と同じように表情一つ変えず、聖地の大喝采の中で涼しく勝ち名乗りを受けた。

 「同じ道場でやっていて、先輩が情けない試合をできない」。前日の男子66キロ級では天理大でいつも一緒に練習している丸山城志郎(ミキハウス)が劇的な優勝を果たした。「厳しい状況になっても焦らず、執念を持った戦い方をしていた」。後輩からの刺激をすさまじい殺気に変えた。

 リオ五輪で他を圧倒し頂点を極めた後、休養して大学院で修士論文を執筆。約1年の充電期間を経て昨年2月に本格復帰した。当初はブランクで本来のキレ味の鋭さが鳴りを潜めていたが、8月のアジア大会での初優勝を皮切りにこれで国内外で5連勝。代表1番手として東京五輪に最も近い存在となった。

 日本男子の井上康生監督は「リオ五輪の時以上の力がついている」と目を細め、「(現時点の実力を)計り知れない」と驚きすらのぞかせた。「より隙がなくなった。どれだけ研究されてもはね返す力がある。世界選手権は久しぶりだが、一回り大きくなって帰ってきた」と最大級の賛辞を贈った。

 「柔道人生の集大成」と位置づける東京での五輪2連覇に大きく近づいた。「周りが思うほど簡単ではない。今日勝ったからこそ、もう一度やり直すという強い思いになった」。どこまでもストイックだ。

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