田代未来2大会連続銀 11分超えの激闘、絶対女王あと一歩まで追いつめた
「柔道・世界選手権」(28日、日本武道館)
女子63キロ級は、リオデジャネイロ五輪5位の田代未来(25)=コマツ=が、決勝で世界選手権2連覇中のクラリス・アグベニェヌ(フランス)に延長戦で優勢負けし、2大会連続で銀メダルを獲得した。
「待て」がかかる度に武道館のボルテージが上がった。11分を超える消耗戦。田代は大舞台で難攻不落の女王を追い詰めたが、あと一歩及ばなかった。「ちょっとの差がとても大きい」。過去の対戦では1勝8敗。昨年の決勝でも敗れた怪力女王の攻め手をうまく封じ、体力を奪った。最後は「チャンスだと思った」と大内刈りで勝負に出たが、逆に生まれた一瞬の隙を返されて勝負あり。底力に屈し、大の字になった。
試合後は涙を浮かべてうなだれたが、勝てそうな感触を得たからこその悔しさだ。「(アグベニェヌは)雲の上の存在ではないと。近いようで遠いのかは分からないが、手応えを感じる試合だった」。東京五輪での金メダルを予感させるには十分の好勝負を演じた。
5位に終わったリオ五輪後、慢性的な痛みを抱えていた左手首を16年11月に手術した。心身を充電して復帰後、17年12月のワールドマスターズでアグベニェヌに初勝利。その後も宿敵のパワーに対抗するために男子選手と乱取りするなど対策を重ね、一番の好敵手としての地位を確立した。
戦う度に距離を縮めているが“名勝負”だけで終わらせるつもりはない。「アグベニェヌ選手が私を強くしてくれているが、必ず勝たなきゃいけない。必ずこの舞台に帰ってきて、次は勝ちたい」。夢舞台まで残り1年。追い抜くには十分時間がある。