日本陸連、日本選手権で誤ってフライング判定 原因は“目視の優先”
日本陸上連盟は28日、6月の日本選手権の女子100メートル障害の予選3組で起きた金井まるみ(青学大)の不正スタート(フライング失格)について、誤判定であったことを発表した。陸連は当該選手および、青学大の関係者に対して、「改めてお詫び申し上げます」と謝罪した。
同レースでは金井のスタートに対して、スターター、リコーラー(不正スタートをチェックする競技役員)が目視の判定で不正スタートと判断し、失格とした。ただ、日本選手権ではスタートブロックのプレートにかかる圧力の変化で判定する(S.I.S=スタートインフォメーションシステム)を使用しており、国際連盟の承認を受けた同システムを使用する場合は、その判定を最優先で採用しなければならない。
陸連によると、今回のスタートではS.I.Sが正常に作動しており、本来であればS.I.Sのデータを採用しなければならなかったが、スターター・リコーラーが目視を優先してしまったという。レース後、青学大陣営は抗議したが、審判長もその判定を最終判断とした上で、申し出のタイミングが規定時間を超えたことを理由に上訴には至らなかった。
大会後に陸連の競技運営委員会が検証した結果、S.I.Sのデータ、ビデオ映像でも不正スタートには当たらないことが判明した。S.I.Sのデータはスタート開始時の微動(腰の上げ下げ)であることを示していたという。スターター、リコーラーはその場でこのデータを確認していたが、圧力波形についての理解が足らず、誤った判定を下した。
陸連はこれにより、リザルトを訂正。金井は不正スタートによる失格ではなく、「審判長の誤判定により出走できず」に変更された。
陸連は「今後、同じような事態が生じないように万全の体制を構築すべく、競技規則の解釈の周知や競技運営上の制度改正を視野にいれた対応策を検討してまいります」と、再発防止を誓った。