浜田、連覇ならず銀 腕キメるチャンス取り切れず
「柔道・世界選手権」(30日、日本武道館)
女子78キロ級は、前回女王の浜田尚里(28)=自衛隊=が決勝でマドレーヌ・マロンガ(フランス)に大外返しで一本負けし、銀メダルだった。男子100キロ級は2大会ぶりの優勝を狙ったウルフ・アロン(23)=了徳寺大職=が準々決勝で昨年王者の趙グハム(韓国)に敗戦。その後敗者復活から勝ち上がり、銅メダルを獲得した。
最強の女寝技師は健在だったが、決勝は過去1勝2敗の難敵相手に大きなミスを犯した。浜田は頭一つ大きい相手にパワーで圧倒され技ありを先取されると、寝技で腕をきめるチャンスが到来したが取り切れない。「取り返したいと思い、投げにいった」。不用意に大外刈りで勝負にいったが、そこは相手の土俵。返されて力尽きた。
「金メダルを目指していたので悔しい。決勝で勝ったら手応えもあったけど」
特別武器がなかった鹿児島南高時代、当時の吉村智之監督に寝技を基本からたたき込まれた。大学時代にはサンボにも挑戦して世界一に輝くなど、寝技を絶対的な武器として確立。この日の武道館も浜田が寝技に入るたびにドッと湧いた。
2年連続で決勝に進む地力は示したが、強豪相手に玉砕する悪癖も露呈した。リオ五輪代表の梅木真美(ALSOK)らとの五輪切符争いはし烈だが、増地克之監督は「(他の候補も)結果を残している。今後も見ていかないといけない」と慎重に言葉を選んだ。
9月には29歳になるが、浜田は「(体が)キツい感じも今のところない。まだまだ柔道は良くなる」と“全盛期”を更新中。「五輪に出場できるように今後も結果を残したい。もっと立ち技を磨く」。人より歩みは遅くても、着実に金メダルに近づいていく。