日本国籍取得の白鵬 モンゴル英雄の父が後押し「わが道を行け」

 モンゴル出身で史上最多42度の優勝を誇る大相撲の横綱白鵬(34)=宮城野、本名ムンフバト・ダバジャルガル)が日本国籍を取得し、3日付の官報で告示された。白鵬はこの日、都内の部屋で朝稽古後、報道陣に対応した。

 モンゴル籍を離れたことに「人間そのものは変わったわけじゃない。自分の国を愛しているから日本という国を愛せる。両親、兄弟を愛せるからこの国の人々を愛せる。改めて今日までたどりついた」と、祖国への変わらぬ愛を語った。

 昨年4月、父ムンフバトさんが亡くなった。メキシコ五輪のレスリング選手としてモンゴル初のメダルをもたらし、モンゴル相撲で6度横綱となった。父子で英雄のため、日本国籍取得にはモンゴル国民から批判の声も少なくなかった。

 それでも、父は「わが道を行け」と、亡くなる前に後押ししてくれた。「世界を見てきたオヤジだから分かってくれた」と、最大の理解者となってくれたのが大きかった。

 父は1964年、東京オリンピックに出場した。来年、天国の父を思い、東京五輪を迎えるのを目標にしてきた。横綱土俵入りを日本人として披露することがあるなら、最高の幸せだ。

 「両国が理解し認めないと(国籍変更は)できないわけだから。相撲があるからこそここまで成長できた。相撲の発展のために一生懸命やっていきたい」と力を込めた。

 外国出身の力士が親方になるには日本国籍が必要。白鵬は現役引退後も親方として角界に残ることが可能になった。既に将来、親方となることを視野に、幕内石浦、炎鵬ら“内弟子”をスカウト。これからは親方としての目線でも考えることになる。「今までは自分が相撲を取ることで頭がいっぱいだった。これからは別の道もできる。強い相撲取りを育て相撲協会、ファンの皆さま(の前)に出してあげたい。一つの恩返しだと思う」と話した。

 日本名は『白鵬翔』に決まった。「平成9年に横綱に昇進した時は横綱に恥じないようにと言った。これからは日本人として恥じないように。2つの国が背中にのしかかってくる。ふっと重い気持ちになる」と、決意を込めた。

 日本人として臨む5日後の秋場所(8日初日、両国国技館)に向けて「一日一日。秋、九州場所へ。ケガが多いからケガなく頑張っていく」と話した。

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