松田瑞生&前田穂南の2人で五輪2枠を 安田功監督からMGC走る2人の教え子へ

 全国高校駅伝を2度制した強豪、大阪薫英女学院高から2人の卒業生がMGCに出場する。2017年の北海道で優勝(2時間28分48秒)してMGCファイナリスト女子1号となった前田穂南(23)=天満屋=と、18年大阪国際女子を初マラソン日本歴代3位の記録(2時間22分44秒)で制した松田瑞生(24)=ダイハツ=だ。2人の恩師で同校陸上競技部の安田功監督(58)が、五輪切符をかけて火花を散らす教え子たちへの思いを語った。

  ◇  ◇

 -MGCでは教え子2人が戦うことに。

 「2人は対照的ですね。松田は有言実行。大きいことを言って自分に重圧をかけてそれを実行する。高校でもエース格で1年から高校駅伝もインターハイも立派な成績を残している。対照的に、前田はおとなしく不言実行です。前田が3年の時(14年)にうちは全国高校駅伝で初優勝しましたが、前田は5人で走る高校駅伝の6番目でわずかに及ばなかった。だからメジャーなレースには出ていないんです」

 -18年大阪国際女子では松田が優勝で前田が2位。2人にライバル心はあるのか。

 「松田は前田の“ま”の字も言わない。強気な性格なので次元が違うというプライドがあり、ライバルとは言わない。前田には特に意識はないでしょう。実際(力の)差はないかなと思います」

 -薫英は練習量を抑えることで資質を伸ばしてきた。

 「将来に力を残す意味もあるが、やりたい選手が自由にやれるように余裕を与えています。うちが初優勝したのは松田が卒業した翌年で、松田の1つ上の大森(菜月、ダイハツ)や松田がこれだけやるんだと見せた練習姿勢が遺産となりました。よく言われる松田の鍛えられた腹筋は、彼女の練習量が圧倒的に多いから。当時の朝練習は6~8キロ走るのですが、松田は4~6月くらいの気温が上がる時期に、ヤッケの上からサウナスーツを2枚重ねにして毛糸の帽子をかぶって走っていた。運動生理学上はダメでしょう。僕も止めるのですが、負荷をかけて走りたいとやっている。袖口や裾から蛇口をひねったような汗がブワーッと出て、びっくりしたことがありました。そうやって体を強くしていった子。マラソン選手というよりプロボクサーのイメージです」

 -一方、3年間控えだった前田は。

 「全国高校駅伝の後の全国都道府県対抗駅伝もメンバーを外れ、1月の北九州の選抜女子駅伝が彼女にとって最後の駅伝になりました。そこで1区を走らせたら、全国高校駅伝の3区で区間賞をとった選手とわずかの差の負け。それだけの力がありました」

 -近年急成長した。

 「今になって、当時のご両親の姿勢が前田がここまで来たことにつながっていると感じます。普通の学校ならエースになれる力があったが、3年間いつも同じような状況でメンバーに入れなかった。それでもご両親は不満を見せず、常に笑顔で協力してくれた。最後の駅伝後に『全国は走れなかったけど、最後によく走ってくれました』と言うと、『本当によかった』と泣いておられました」

 -MGCの展開は。

 「予想されているようにライバルは鈴木亜由子選手らかと。もちろん体調や天候によります。2人で(五輪の)2枠をと思いますが、そんなに甘くはないでしょう」

 -五輪本番では真夏のマラソンになる。

 「日本人が勝負できるのは真夏のマラソンしかない。今はケニアやエチオピアが上位を占めていますが、暑さの種類が違うので意外にもろいと思います。暑さへの強さはメンタルの強さ。メンタルは日本人の方が強い。チャンスはないこともないと思います。松田も前田も暑さに強いのでぴったりです」

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