紀平梨花V「すごく集中した」 突如不振もルーティン実践で乗り切った
「フィギュアスケート・オータム・クラシック」(13日、オークビル)
女子は昨季のグランプリ(GP)ファイナル覇者で今季初戦の紀平梨花(17)=関大KFSC=がショートプログラム(SP)に続いてフリーも145・98点で1位となり、合計224・16点で優勝した。大技のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)-2回転トーループを決めた。18年平昌冬季五輪銀メダルのエフゲニア・メドベージェワ(ロシア)が合計217・43点で2位だった。
精度が上がっていたはずの代名詞のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)がフリー当日、硬い氷の練習会場で突如不振に陥った。本番会場で直前の6分間練習でも最後に2連続でミス。後味が悪かったが、紀平の精神面は崩れなかった。
かつては日本スケート連盟の専任トレーナーとして浅田真央らを見てきた加藤修氏に今季からアドバイスを受け、新たなルーティンを実践。6分間練習後は「しないといけないことをこなした」という。地上でのジャンプの回転練習やジョギングで体を温め続けた。最終組の6人で最後の出番だったため、一度脱いだスケート靴を3人目が終わったところで再び履くなど“時間割”に沿って動いた。
決まり事をこなし「うまくいった」と心を落ち着かせると、本番では技の切れが戻った。冒頭の3回転半-2回転トーループは体の軸がぶれても決め、単発の3回転半では回転不足になっても着氷でこらえた。流れに乗り「すごく集中した。ちゃんと跳べて良かった」と笑みが絶えなかった。
今季組み込む予定の4回転サルコーは回避したが、シーズン初戦で好発進。「気持ち的にも金(メダル)を目指そうと思える」と自らの希望でふんだんに入れた金色の装飾が、表彰台の中央でまばゆく輝いた。