友風、号泣金星 敬愛する引退表明嘉風に恩返し「いい報告が…」

 「大相撲秋場所・7日目」(14日、両国国技館)

 平幕友風が横綱鶴竜から2場所連続、2つ目の金星を挙げ、花道で号泣した。先場所同様、はたき込みで撃破し4勝目(3敗)。敬愛する兄弟子の嘉風(37)=年寄「中村」襲名=が12日に引退を表明し、やっと会心の恩返し星を届けられ感極まった。鶴竜は3日連続金星配給で3敗に後退。平幕隠岐の海が妙義龍を退け自己新の初日から7連勝で単独トップを守った。10勝で大関復帰を目指す関脇貴景勝は千代大龍の変化に屈し2連敗(5勝)。全勝の隠岐の海を1敗で関脇御嶽海、平幕の明生、石浦が追う。

 勝ち名乗りを受ける時、友風はもうこみ上げていた。花道でおえつをもらし、号泣。インタビュー室で嘉風について問われると「いい報告が…」と涙、涙で言葉にならなかった。

 2場所連続の金星はまさに嘉風に捧げる恩返し星となった。

 「恋人」とまで言い、心酔する13歳上の兄弟子が12日に引退。日体大OBで大学時代から面倒を見てくれ、すべてを教えてくれた。「ずっとさみしい。ずっとそばにいてくれた人がいなくて」。今場所の“傷心”は半端ではなかった。

 真っ向勝負で観客を熱狂させた兄弟子を思い、「嘉関(嘉風)の分も頑張らないと。いいものを見せたいというのが強くあった」と言う。魂を背負ったが、不本意な内容の相撲ばかりだった。

 前日、打ち出し後に電話をもらった。「俺はそこ(真っ向勝負)までいくのに10年かかった。どんな相撲内容でも受け止めてやるから思い切りやれ」。この言葉で吹っ切れた。

 先場所の鶴竜戦は一方的に押し込まれ、土俵際、かわしての勝利だったが今回は違う。「横綱の強さをしっかり体感して前に出た」と立ち合い、しっかり当たった。嘉風から「自分の相撲を取り切れ」との助言も効いた。

 押し込まれながら、右に開いてはたき込み、鶴竜を再び沈めた。先場所は小錦に並ぶ初土俵から14場所目の最速初金星だったが「境遇、内容を考えたら今回の方が心に残る」と相撲人生でも忘れられぬ白星。嘉風を背負い、いつか「真っ向勝負」が代名詞の男になるつもりだ。

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