前田穂南、独走Vで初五輪 「いつの間にか後ろがいなくなっていました」

 「マラソン・グランドチャンピオンシップ」(15日、明治神宮外苑発着)

 大激戦となった男子は、伏兵の中村匠吾(27)=富士通=が2時間11分28秒で歴史的一戦を制した。“4強の一角”だった18年福岡国際マラソン覇者の服部勇馬(25)=トヨタ自動車=が8秒差の2位となった。女子は最初にMGC切符をつかんだ前田穂南(23)=天満屋=が中盤から独走し、2時間25分15秒で優勝。16年リオデジャネイロ五輪トラック代表の鈴木亜由子(27)=日本郵政グループ=が2位に入った。男女とも上位2人が東京五輪代表に内定した。

 20キロ付近からの長い長い一人旅。前田は独特のおっとりした口調で「いつの間にか後ろの選手がいなくなっていました」と振り返った。スタートから一山が飛び出すハイペースな展開にも動じることはなかった。集団の前方をキープし、18キロ付近で鈴木と2人になった。給水のタイミングで前に出たように見えたが「仕掛けたつもりはなかった。自分の感覚で走った」。その差に気づいたのは、折り返し地点で後続とすれ違った時だった。

 生き馬の目を抜く一発選考の雰囲気にものまれない、ひたすらマイペースな23歳。強豪、大阪薫英女学院では3年間、全国高校駅伝のメンバーに入れなかった。5人で走る全国高校駅伝では常に6番手。最後の都大路では2年生にその座を譲り、同校の初優勝を見守った。

 前田の母麻理さん(45)は、その日の娘の姿をよく覚えている。「帰ってすぐ走りに行ったんです。自分は走ってない。疲れていないからと」。大学進学を勧める両親を説得し「マラソンが強くて一番練習がハードなところ」と実業団を希望した。「マラソンなら勝負できると変な確信があったみたい」と麻理さん。補欠時代から変わらぬストイックさで、長い手足を生かした無駄のないフォームをつくりあげた。

 4大会連続で輩出した五輪代表がリオデジャネイロ五輪で途切れた天満屋にとっても念願だった。「自国開催の責任の方が大きい」という武冨豊監督(65)の横で、前田は「しっかり切り替えて、金メダルを目指して練習に取り組んでいきたい」と決意をにじませた。

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