羽生結弦は目標を4回転アクセルに決め、心も技術も変わった

 「フィギュアスケート・オータム・クラシック」(14日、オークビル)

 男子は冬季五輪2連覇で今季初戦の羽生結弦(24)=ANA=がショートプログラム(SP)に続いて1位となるフリー180・67点、合計279・05点で優勝した。4回転はループとサルコーで着氷が乱れて2度のトーループとも回転不足を取られたが、ステップとスピンで全て最高難度のレベル4を並べるなどして得点を積み上げた。

  ◇  ◇

 4回転ジャンプ4つとも減点となり、ベストから程遠い内容での優勝。しかし羽生結弦は、すっきりした表情でインタビューに現れた。悔しがっている様子はない。

 「今回は『勝つ負ける』はあまり考えず、このジャンプ構成を完成させたいというのがありました。課題が見つかりました」

 珍しい。拍子抜けするほど、今回のジャンプへの関心がない。それはつまり、もっと先のゴールだけを見つめて、通過点を確認するための大会だったということだ。

 では具体的なゴールは何かと追求すると、これまで抑えていた本音が出た。

 「実は昨秋の一時期、成長する余地が厳しいと思った時がありました。4回転アクセルの壁があまりに分厚くて。ハーネス(補助具)では降りてたけど、ハーネス無しでは回る気配もなかったんです」

 しかしこのオフ、明確に4回転アクセルを目標に決めてからは、心も技術も変わった。

 「今はとりあえず回りきってコケてます。あとは(片足で)降りるだけ。意外とできそうだなってなって来ています。今は本当に4回転アクセルをやるためにスケートやってるな、そのために生きてるなって思います」

 目標を言葉として口に出すことによって、自分を追い込む。羽生らしいやり方だ。インタビューの最後に「本当に奇麗なのを飛びますよ!」とダメ押し宣言。思わず、期待で胸が高鳴った。(スポーツジャーナリスト・野口美恵)

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