文田「金」 2年ぶりに世界王者「東京五輪で金メダル狙います」
「レスリング・世界選手権兼東京五輪予選」(17日、ヌルスルタン)
男子グレコローマンスタイル60キロ級で五輪代表に決まった文田健一郎(23)=ミキハウス=が決勝で昨年覇者のセルゲイ・エメリン(ロシア)を破り、2017年大会59キロ級以来2年ぶりに世界王者となった。グレコの日本勢で2度目の優勝は初めて。女子は53キロ級の向田真優(22)=至学館大=が18日の決勝に進出してメダルを確定させ、日本協会の選考基準を満たして五輪代表に決まった。50キロ級の入江ゆき(自衛隊)は3回戦で敗退。非五輪階級で55キロ級の入江ななみ(福井県スポーツ協会)は決勝に進んだ。
文田が2年ぶりの世界一で東京五輪内定に花を添えた。ロシア選手との決勝では5ポイントを先取されてから本領発揮。得意の投げ技でまたたく間に10ポイントを取って逆転した。「2年前は勢いに乗って優勝したが、今回は一つ一つ丁寧に戦略を立てて勝ち上がった。達成感は大きい」。会場に響き渡るような雄たけびで、喜びを表現した。
大会直前の群馬県・草津での合宿では投げ技がかからず、自信を失った。しかし30キロ以上重い松本慎吾・日本協会男子グレコローマンスタイル強化委員長とのスパーリングで、グレコの原点と言える「前に出る」大切さを実感して復調。大一番でも成果を発揮した。
スタンドでは同じ階級で競い合い、今大会は63キロ級を制した太田が国旗を振って文田に声援を送っていた。文田は「試合前には忍先輩からアドバイスをもらった。冗談で『50万円な』って言われましたけど」と笑う。
火花を散らしたライバルからの後押しも力に変えての世界一奪還。「東京五輪で金メダルを狙います」と声高らかに宣言した。